新卒採用で広告出稿を検討している採用担当者に向けて、採用広告の種類と費用相場、媒体の選び方をまとめました。媒体ごとの向き不向きを知らないまま出稿すると、予算を投じても届けたい学生に届きません。
採用広告とは?求人広告との違い
採用広告とは、企業が採用活動のために出稿する広告全般を指す言葉です。求人票を掲載する「求人広告」よりも広い概念で、会社の魅力や働く環境を伝えるブランディング要素を含む点が特徴です。求人広告が「募集中のポジションを知らせる」ことに主眼を置くのに対し、採用広告は「この会社で働く魅力」まで含めて伝えます。
採用広告の種類と特徴
採用広告は、リーチできる層・費用感・向いている企業で7種類に整理できます。
| 種類 | リーチできる層 | 費用感 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| 就職情報サイト(ナビサイト) | 広範な母集団 | 中〜高 | 幅広く母集団を集めたい企業 |
| SNS広告 | 潜在層 | 低〜中 | 低予算から認知を広げたい企業 |
| 検索エンジン広告(リスティング広告) | 顕在層 | 低〜中 | 既に自社を検索している層に届けたい企業 |
| ダイレクトリクルーティング | 個別の学生 | 個別見積り | ピンポイントで学生にアプローチしたい企業 |
| 動画広告 | 幅広い層 | 中〜高 | 社風・雰囲気を伝えたい企業 |
| 紙媒体・交通広告 | 地域の学生 | 低〜中 | エリア採用・地域での認知を狙う企業 |
| 自社採用サイト(オウンドメディア) | 応募検討層 | 初期費用中心 | 中長期で情報資産を積み上げたい企業 |
就職情報サイト(ナビサイト)
就職情報サイトは、広範な母集団形成に向く定番の媒体です。多くの学生が登録しているため露出量は確保しやすい一方、掲載型のため学生からの応募を待つ「待ちの採用」になりやすい特性があります。
SNS広告
SNS広告は、低予算から始められ、潜在層への認知形成に向いています。まだ就職活動を意識していない学生にも接触できる点が、掲載型の媒体との違いです。
検索エンジン広告(リスティング広告)
検索エンジン広告は、既に自社名や関連ワードを検索している顕在層に届く一方、新卒採用では検索ボリュームが限られる点に注意が必要です。中途採用向けの求人検索エンジンほどの規模は見込めません。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業側から学生へ直接アプローチする「攻め」の手法です。掲載して待つのではなく、条件に合う学生を探して個別に声をかけるため、ピンポイントでのアプローチに向いています。ABABAの実績では、スカウトの開封率は33%です(2026年1月時点)。送りっぱなしにせず、開封後の返信につながる文面設計まで含めて運用する必要があります。
動画広告
動画広告は、YouTubeやSNSでの配信を想定し、社風・雰囲気の伝達に強い媒体です。テキストや静止画では伝わりにくい職場の空気を、短時間で届けられます。
紙媒体・交通広告
紙媒体・交通広告は、エリア採用や地域での認知獲得に使いどころがあります。全国規模の母集団形成には向きませんが、特定の地域に絞った採用では今も選択肢になります。
自社採用サイト(オウンドメディア)
自社採用サイトは、広告費をかけずに情報を資産として蓄積でき、中長期で効いてきます。初期の制作費はかかりますが、掲載を続けるための追加費用が発生しない点が、他の媒体と異なります。
採用広告の費用相場
採用広告の費用は、媒体の種類によって課金形態も金額帯も大きく異なります。公開されている料金情報をもとに、種類別の相場を整理しました。
| 種類 | 費用相場 | 課金形態など |
|---|---|---|
| 就職情報サイト(ナビサイト) | 30万〜300万円/シーズン | 掲載期間契約制が中心 |
| 検索エンジン広告(リスティング広告) | クリック課金15円〜1,000円/月額型10万〜50万円 | クリック課金・月額課金 |
| SNS広告 | 30万〜50万円前後 | インプレッション・クリック課金 |
| 自社採用サイト(オウンドメディア) | 外部依頼10万〜100万円以上/自社制作0〜10万円以上 | 初期制作費が中心・掲載費は別途 |
| 紙媒体・交通広告 | 求人情報誌5万〜50万円/月・新聞折込1枚3〜10円 | 発行部数・掲載サイズで変動 |
| ダイレクトリクルーティング | 個別見積り(各社非公開) | 成功報酬型・年間契約型など料金体系が分かれる |
| 動画広告 | 制作費は演出内容により変動 | 配信先媒体の広告費は別途必要 |
出典:「求人広告の費用相場|料金形態や種類ごとの相場などを解説」(エン株式会社/公式記事・2026年9月15日取得)
効果測定を踏まえた費用対効果の考え方は求人広告の費用対効果とは?効果測定方法と高め方を解説、媒体別の掲載料金の詳細は求人広告の費用相場は?媒体別の掲載料金と効果を解説で、それぞれさらに詳しく解説しています。
採用広告媒体の選び方
媒体選びは、「採用ターゲットの明確化→ターゲットが接触する媒体の選定→予算とスケジュールの整合」の3ステップで進めます。
1. 採用ターゲットの明確化:どんな学生に届けたいかを、採用ペルソナとして具体化する2. ターゲットが接触する媒体の選定:ペルソナが日常的に触れている媒体を、前述の比較表から選ぶ3. 予算とスケジュールの整合:媒体の費用相場と、母集団形成に使える期間から逆算して配分する
ターゲットを明確にしないまま媒体を選ぶと、露出は増えても応募につながらない状態に陥ります。まず届けたい相手を具体化してから、媒体を選んでください。
採用広告の効果を高めるポイント
採用広告の効果は、内容の作り込みで大きく変わります。押さえるべきポイントは4つです。
- ターゲットに刺さるキャッチコピー:抽象的な訴求でなく、ターゲットが反応する言葉を選ぶ(求人キャッチコピーの作り方)
- 写真や動画による職場の可視化:テキストだけでは伝わらない雰囲気を見せる
- 条件の明確な記載:曖昧な表現は応募のハードルを上げる
- スマートフォンでの見やすさ:学生の多くはスマートフォンで広告を見る前提でレイアウトを整える
4つの中でも、キャッチコピーは最初に学生の目に触れる部分です。ここで興味を持ってもらえなければ、本文まで読んでもらえません。
採用広告を出稿する際の注意点
採用広告の出稿では、職業安定法に基づく表示義務を守る必要があります。
厚生労働省の資料には、「明示する労働条件は、虚偽又は誇大な内容としてはなりません」と明記されています。当初の明示と異なる労働条件を提示する場合や、明示が不十分だった場合は、行政による指導監督(行政指導や改善命令、勧告、企業名公表)や罰則等の対象となる場合があります。「見栄えをよくする」ための誇張表現は、法令違反のリスクを伴う点に注意してください。
出典:「労働者を募集する企業の皆様へ~労働者の募集や求人申込みの制度が変わります~(職業安定法の改正)」(厚生労働省/公式PDF・2026年9月15日取得)
出稿後は、掲載して終わりにせず効果測定と改善を続けてください。応募数・面接設定率・内定承諾率のどこで歩留まりが落ちているかを確認し、次回出稿の内容や媒体選定に反映します。
よくある質問
採用広告の相場はいくらですか?
媒体によって数万円から数百万円まで幅があります。就職情報サイトへの掲載であれば1シーズン30万〜300万円程度、SNS広告であれば30万〜50万円前後が目安です。詳しくは前述の費用相場の表を参考にしてください。
無料で掲載できる方法はありますか?
ハローワークへの求人掲載は無料です。また、自社採用サイトも自社制作であれば追加費用なく情報を掲載できます。ただし無料の方法はリーチできる層が限られるため、母集団形成の主軸にする場合は有料媒体との組み合わせを検討してください。
実態と異なる採用広告は違法になりますか?
職業安定法により、虚偽又は誇大な内容の表示は禁止されています。当初の明示と異なる条件を提示した場合や、明示が不十分だった場合は、行政指導や罰則等の対象となることがあります。実態に即した内容で出稿することが前提です。
採用広告と求人広告の違いは何ですか?
求人広告が募集中のポジションを知らせることに主眼を置くのに対し、採用広告は会社で働く魅力まで含めて伝える、より広い概念です。両者は明確に区別されているわけではなく、実務上はほぼ同じ意味で使われることも多い言葉です。
まとめ
採用広告は、種類ごとにリーチできる層と費用感が大きく異なります。まず届けたい学生像を明確にしたうえで、費用相場と照らして媒体を選び、出稿後も効果測定を続けてください。
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