新卒採用では、内定後に多くの書類のやり取りが発生します。しかし、「どの書類をいつ提出してもらうべきか分からない」「内定通知書や採用通知書の違いが曖昧」と悩む採用担当者も少なくありません。書類の種類や提出時期を正しく把握していないと、手続きの遅延や対応漏れにつながる可能性があります。
本記事では、新卒採用時に必要な提出書類と送付書類の種類、それぞれの目的や対応時期、書類提出時の注意点について分かりやすく解説します。内定から入社までの流れを整理し、スムーズな入社手続きを実現しましょう。
新卒採用時に必要な書類と流れまとめ
新卒採用において、内定承諾から入社までの期間は、企業が送付する書類と学生から提出してもらう書類を整理し、適切なタイミングでやり取りすることが重要です。
まず「内定承諾時」には、企業から内定通知書や内定承諾書を送付し、学生から内定承諾書を提出してもらいます。あわせて、卒業見込証明書や成績証明書など、卒業要件や学業状況を確認するための書類を提出してもらうケースが一般的です。
次に「入社前」には、採用通知書や労働条件通知書を送付するとともに、健康診断書、マイナンバー、給与振込先届、年金関連書類など、入社手続きや社会保険・給与処理に必要な書類を回収します。企業によっては誓約書や身元保証書、資格証明書の提出を求める場合もあります。
このように、新卒採用では「内定承諾時」と「入社前」の2つのタイミングで必要書類を整理し、提出期限や送付時期を明確にしておくことが重要です。書類の回収漏れや手続きの遅延を防ぎ、円滑な入社準備につなげることができます。
提出書類の対応時期一覧表
以下は、新卒採用時における主な書類の対応時期をまとめた一覧表です。企業が学生へ送付する書類と、学生に提出を求める書類を区別して管理することで、入社手続きをスムーズに進められます。
| 書類名 | 区分 | 対応時期 |
| 内定通知書 | 学生へ送付 | 内定決定後すぐ |
| 内定承諾書 | 学生へ送付(返送依頼) | 内定通知書送付時 |
| 内定承諾書(返送) | 学生に提出を求める | 内定承諾時 |
| 卒業見込証明書 | 学生に提出を求める | 内定承諾時〜入社前 |
| 成績証明書 | 学生に提出を求める | 内定承諾時〜入社前 |
| 採用通知書 | 学生へ送付 | 内定承諾後 |
| 労働条件通知書 | 学生へ送付 | 内定承諾後〜入社前 |
| 健康診断書 | 学生に提出を求める | 入社1か月前〜入社日まで |
| マイナンバー関連書類 | 学生に提出を求める | 入社前 |
| 年金関連書類 | 学生に提出を求める | 入社前 |
| 給与振込先届(通帳コピー等) | 学生に提出を求める | 入社前 |
| 誓約書 | 学生に提出を求める | 入社前 |
| 身元保証書 | 学生に提出を求める | 入社前 |
| 資格証明書・免許証の写し | 学生に提出を求める | 入社前(必要職種のみ) |
基本的には、「内定承諾時」に卒業見込証明書や成績証明書などの入社資格を確認する書類を回収し、「入社前」に社会保険・給与手続きや雇用契約に必要な書類を回収します。あらかじめ提出期限を明示した一覧表を共有しておくことで、書類の提出漏れや遅延を防ぎやすくなります。
新卒採用時に提出を求める書類について
新卒採用では、入社手続きや労務管理を適切に行うために、卒業見込証明書や成績証明書、健康診断書、マイナンバー関連書類などの提出を求めます。また、企業によっては誓約書や身元保証書などの追加書類が必要になる場合もあります。一方で、公正な採用選考の観点から提出を求めてはいけない書類も存在するため、目的を明確にしたうえで適切に管理することが重要です。
書類一覧と提出目的
新卒採用では、入社手続きや採用条件の確認のために、内定者へいくつかの書類の提出を求めます。なかでも、多くの企業で共通して必要となる基本書類が「卒業見込証明書」「成績証明書」「健康診断書」の3つです。これらは内定者の卒業要件や学業状況、健康状態を確認するために活用されます。
主な提出書類と目的、提出時期は以下の通りです。
| 書類名 | 提出目的 | 提出タイミング |
| 卒業見込証明書 | 卒業予定であることを確認し、入社資格を確認するため | 内定承諾時または入社前 |
| 成績証明書 | 学業成績や継続的な取り組み状況を確認するため | 内定承諾時または入社前 |
| 健康診断書 | 入社後に業務を遂行できる健康状態か確認するため | 入社1か月前〜入社日まで |
これらの書類は、企業が内定者の状況を正確に把握し、円滑な入社準備を進めるために重要な役割を果たします。提出漏れや遅延を防ぐためにも、取得方法や提出期限を事前に案内し、計画的に回収することが大切です。
追加提出書類
基本書類に加えて、企業によっては入社手続きや労務管理のために追加書類の提出を求める場合があります。これらの書類はすべての企業で必須ではありませんが、給与支払いや機密情報の管理、業務上必要な資格の確認などに活用されます。内定者がスムーズに準備できるよう、提出理由や期限を事前に明確に伝えることが大切です。
主な追加提出書類は以下の通りです。
| 書類名 | 提出目的 | 提出タイミング |
| 誓約書 | 機密保持や社内ルールの遵守について同意を得るため | 内定承諾後〜入社前 |
| 給与振込先届(通帳コピーなど) | 給与の振込先口座を確認するため | 入社1か月前まで |
| 身元保証書 | 緊急連絡先や保証人情報を確認するため | 入社前 |
| 資格証明書・免許証の写し | 業務に必要な資格・免許の保有状況を確認するため | 入社前(必要職種のみ) |
これらの書類は、企業ごとの規定や職種によって必要性が異なります。特に資格職の場合は、資格証明書の提出が入社条件となることもあるため注意が必要です。提出依頼を行う際は、取得方法や提出期限もあわせて案内し、内定者の負担を軽減できるよう配慮しましょう。
提出を求めてはいけない書類一覧
新卒採用では、入社手続きに必要な書類を回収する一方で、コンプライアンスや個人のプライバシー保護の観点から提出を求めてはいけない書類も存在します。厚生労働省の「公正な採用選考」の考え方では、採用は応募者の適性や能力を基準に行うべきであり、出身地や家族構成、思想信条など採用とは関係のない情報を収集してはならないとされています。
主な提出禁止書類は以下の通りです。
| 書類名 | 提出禁止の理由 |
| 戸籍謄本・住民票 | 出身地や家族構成など、採用判断に不要な個人情報が含まれるため |
| 家族構成・扶養情報に関する書類 | 本人の適性や能力と関係がなく、プライバシー侵害につながるため |
| 信仰・思想に関する資料 | 宗教や思想信条を採用基準にすることは不適切であるため |
| セクシャリティに関する情報 | 差別や偏見につながるおそれがあるため |
これらの情報は、本人の能力や業務遂行能力とは直接関係がありません。誤って提出を求めると、公正な採用選考の原則に反するだけでなく、企業イメージの低下やトラブルにつながる可能性があります。採用担当者は提出書類の基準を社内で共有し、適性・能力以外の情報を収集しない運用を徹底することが重要です。
書類提出を求める際の注意点
新卒内定者に書類提出を依頼する際は、提出期限や取得方法を明確に伝え、余裕を持ったスケジュールを設定することが重要です。特に卒業見込証明書や成績証明書は発行まで時間がかかる場合があるため、早めの案内を心がけましょう。また、提出状況を適切に管理し、未提出者へのフォローを行うことで、必要書類の回収漏れを防ぎ、円滑に入社準備を進めることができます。
提出遅れを防ぐ
新卒採用における書類提出では、企業側の案内不足によって提出遅れが発生するケースも少なくありません。特に卒業見込証明書や成績証明書は大学側の発行手続きに時間がかかる場合があるため、人事担当者は余裕を持ったスケジュールを設定することが重要です。
提出遅れを防ぐためには、まず内定承諾時に必要書類の一覧と提出期限をまとめて案内し、取得方法や注意点もあわせて説明しましょう。また、「○月○日までに大学へ申請してください」など、具体的な行動期限まで示すことで内定者の準備漏れを防ぎやすくなります。
さらに、新卒者にとって入社手続きは初めての経験であり、どの書類をいつ取得すればよいのか分からないことも珍しくありません。そのため、人事担当者は単に期限を伝えるだけでなく、定期的なリマインドや進捗確認を行い、疑問点があれば相談できる環境を整えることが大切です。
万が一、卒業見込証明書の発行開始時期が遅い場合や、大学側の事情で提出が間に合わない場合は、事情を確認したうえで柔軟に対応することも必要です。書類回収を単なる事務手続きとして捉えるのではなく、内定者フォローの一環として計画的に進めることで、入社前のトラブルを防ぎ、スムーズな受け入れにつなげられます。
書類提出のリマインドや入社前のコミュニケーションを円滑に進めるためには、内定者フォローの仕組みづくりも重要です。LINEを活用した内定者フォローについては、以下の記事で詳しく解説しています。
内定者フォローでLINEを使うメリット・デメリット・挨拶の仕方などを紹介
新卒採用時に送付すべき書類について
新卒採用では、内定通知書や採用通知書などの書類を適切なタイミングで送付することが重要です。それぞれの役割や送付の流れ、記載すべき項目を理解し、内定者が安心して入社準備を進められるよう丁寧に対応しましょう。
通知書は2種類
新卒採用で企業が送付する代表的な通知書には、「内定通知書」と「採用通知書」の2種類があります。それぞれ役割や送付タイミングが異なるため、違いを理解し、適切に発行・送付することが重要です。
採用通知書
採用通知書とは、企業が内定を承諾した学生に対して、正式に採用する意思を伝えるための書類です。主な目的は、採用決定を文書で通知し、学生の入社意思をより確かなものにすることにあります。また、口頭やメールのみの連絡で発生しやすい認識のずれを防ぎ、内定者の不安を軽減する役割も果たします。
採用通知書は、一般的に学生から内定承諾書の返送を受けた後に送付します。送付時期は内定承諾後から入社前までの期間が目安です。なお、採用通知書そのものに法的な発行義務はありませんが、多くの企業では内定者フォローの一環として活用しています。
また、採用通知書は単独で送付するのではなく、添え状や労働条件通知書などとあわせて送付されることもあります。採用が正式に決定したことを明確に伝えることで、内定辞退の防止や入社準備の円滑化につながる重要な書類といえるでしょう。
内定通知書
内定通知書とは、企業が選考を通過した学生に対して内定を通知するための書類です。主な目的は、採用の意思を正式に伝えるとともに、学生の入社意思を確認することにあります。内定通知書そのものに法的効力はありませんが、内定は将来的な雇用契約の成立を前提とした重要な約束であり、企業が内定を取り消す場合には、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められます。
内定通知書は、最終選考後に電話やメールで内定連絡を行った後、速やかに送付するのが一般的です。送付時期は内定決定直後から内定承諾前までの期間となります。また、内定通知書には内定承諾書や労働条件通知書、返信用封筒などを同封するケースが多く見られます。
労働条件通知書には、賃金や勤務地、勤務時間などの重要な労働条件を記載し、学生が安心して入社を判断できるようにします。なお、企業によっては内定通知書と採用通知書を一本化して運用する場合もありますが、一般的には内定通知書で内定を通知し、承諾後に採用通知書を送付する流れとなっています。
なお、内定通知書は、内定者との最初の正式なコミュニケーションとなる重要な書類です。記載項目や送付方法、メール文例について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
内定通知書の雛型テンプレート|書類の役割や送り方、メール文例まで解説
採用通知書を送付する流れ
採用通知書を送付する際は、まず電話やメールで内定を連絡し、その後に内定通知書を郵送します。学生から内定承諾書が返送されたら、入社意思を確認したうえで採用通知書を発行・送付するのが一般的な流れです。各手続きを段階的に進めることで、認識の相違を防ぎながら円滑に入社準備を進めることができます。
1.学生に簡易的な通知を行う
内定が決定したら、まずは電話やメールで学生へ簡易的な通知を行います。正式な書類の送付に先立ち、内定の事実を迅速に伝え、今後内定通知書などの書類を送付する予定であることを案内するのが一般的です。
連絡のタイミングは最終面接から1週間以内を目安とし、できるだけ早く対応することが重要です。特に新卒採用では複数企業の選考が同時進行していることが多いため、連絡が遅れると内定辞退につながる可能性があります。また、電話やメールは学生が確認しやすい午前中に行うと、スムーズなコミュニケーションにつながります。
迅速かつ丁寧な連絡は、学生の不安を軽減するとともに、企業への信頼感を高める効果があります。
2.内定通知書を発行し郵送する
学生へ内定連絡を行った後は、正式な内定通知書を発行し、郵送します。内定通知書は、企業の採用意思を文書で明確に伝えるための重要な書類です。口頭連絡だけでは認識の違いが生じる可能性があるため、速やかに書面で通知することが望まれます。
郵送する際は、内定通知書だけでなく、内定承諾書や労働条件通知書、返信用封筒などを同封するのが一般的です。また、学生が不明点を確認できるよう、人事担当者の連絡先や問い合わせ先を明記しておきましょう。さらに、内定承諾書の返送期限も分かりやすく記載することが大切です。
書類は内定連絡後できるだけ早く発送し、学生が十分な検討期間を確保できるよう配慮しましょう。
なお、内定承諾書や入社承諾書の役割、記載項目、運用時の注意点について詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。
入社承諾書とは?テンプレートや新卒と中途の違いについても解説
3.学生が内定承諾書を記入し返送
内定通知書を受け取った学生は、内容を確認したうえで内定承諾書を記入し、企業へ返送します。内定承諾書は、学生が入社の意思を示すための重要な書類であり、企業側はこれを受領することで正式な入社準備を進められるようになります。
返送方法は郵送が一般的ですが、近年では電子契約システムやPDFによるオンライン提出を採用する企業も増えています。企業は返送期限を明確に設定し、学生が迷わず手続きできるよう案内することが大切です。
また、この段階で内定辞退が発生する可能性もあるため、書類の返送状況を適切に管理するとともに、不明点や不安があれば相談できる窓口を設けるなど、丁寧なフォローを行うことが重要です。
なお、内定辞退が起こる主な理由や企業側でできる対策について以下の記事で紹介しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
内定辞退の理由ランキングすぐ出来る対策を徹底解説
4.採用通知書を発行し郵送する
学生から内定承諾書が返送されたら、入社意思を確認したうえで採用通知書を発行し、郵送します。採用通知書は企業が正式に採用を決定したことを文書で通知する書類であり、学生に安心感を与える役割もあります。一般的には、内定承諾書を受領してから1週間程度を目安に発送します。
送付形式は郵送が一般的ですが、近年では電子データで通知する企業もあります。ただし、重要な通知であるため、書面で保管できる形式が望ましいです。また、採用通知書には入社日や今後の手続きに関する案内を記載すると、学生もスムーズに入社準備を進められます。
なお、企業によっては内定通知書と採用通知書を統合し、「採用内定通知書」として送付するケースもあります。
採用通知書の必須項目
採用通知書には、採用決定の事実を正確に伝えるための重要な情報を記載する必要があります。まず、ビジネス文書として基本となる「作成日」と「学生の氏名」を記載します。日付は通知書を発行した日を記載し、宛名には「様」などの敬称を付けるのが一般的です。
次に、通知書の差出人となる「会社名」「所在地」「代表者名」を記載します。誰が発行した文書なのかを明確にすることで、通知書の信頼性を高められます。
本文では、選考に参加してくれたことへの感謝を伝えたうえで、採用を決定した旨を明記します。単に結果を通知するだけでなく、「厳正な選考の結果、採用を決定いたしました」といった表現を用いることで、丁寧な印象を与えられます。
また、「入社日」や「労働条件」も重要な記載事項です。新卒採用の場合は4月1日を入社日として記載することが一般的です。雇用形態、給与、勤務地、勤務時間などの条件については、求人票や説明会で案内した内容と相違がないよう注意しましょう。詳細を別紙の労働条件通知書にまとめる方法もあります。
さらに、「人事担当者の連絡先」も必ず記載しましょう。電話番号やメールアドレスを明記することで学生が疑問点や入社前の相談をしやすくなり、安心感の向上につながります。
| 項目 | 目的 |
| 日付・学生氏名 | 通知先と発行日の明確化 |
| 会社名・代表者名 | 発行者の明示と信頼性の確保 |
| 採用決定通知文 | 採用決定を正式に伝えるため |
| 入社日 | 入社スケジュールの共有 |
| 労働条件 | 雇用条件の明示と認識の統一 |
| 人事担当者の連絡先 | 問い合わせや相談窓口の案内 |
まとめ
新卒採用における内定後の書類対応は、入社手続きを円滑に進めるうえで欠かせない業務です。企業は卒業見込証明書や成績証明書、健康診断書などの必要書類を適切な時期に回収するとともに、個人情報や差別につながる書類を求めないようコンプライアンスにも配慮しなければなりません。
また、内定通知書や採用通知書を正しい手順で送付し、学生へ丁寧な案内を行うことも重要です。提出期限や取得方法を早めに周知し、内定者フォローを徹底することで、書類の提出遅れやトラブルを防ぎ、円滑な入社手続きにつなげることができます。



