入社承諾書とは?テンプレートや新卒と中途の違いについても解説

掲載日: 2026-07-06
入社承諾書とは?テンプレートや新卒と中途の違いについても解説

入社承諾書は、内定者が入社意思を正式に示すための重要な書類です。しかし、「どのような項目を記載すればよいのか」「新卒採用と中途採用で違いはあるのか」「法的な効力はあるのか」など、作成や運用に悩む採用担当者も少なくありません。記載内容が不十分な場合、入社前の認識違いやトラブルにつながる可能性もあります。

本記事では、入社承諾書の基本的な役割や記載項目、テンプレート例、同封書類、作成時のポイントを解説します。あわせて、新卒採用と中途採用の違いや注意点についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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入社承諾書とは

入社承諾書とは、企業から内定を受けた内定者が入社の意思を正式に示すために提出する書類です。一般的には、企業が採用内定通知書を送付し、それに対する返答として内定者が署名・押印した入社承諾書を返送します。

記載内容には、「私は、貴社の採用内定を受諾し、〇年〇月〇日付で入社することを承諾いたします」といった入社意思を明確に示す文言が含まれるのが一般的です。入社承諾書を提出することで内定者が入社意思を明確に示すことができ、企業と内定者の間で認識の違いやトラブルが生じるリスクを軽減できます。

なお、入社承諾書は内定後の手続きの一つです。内定と採用の違いや内定後の流れについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

内定とは?内々定や採用との違い、通知書の記載例と手続きの流れを解説

入社承諾書を提出してもらう目的

入社承諾書を提出してもらう目的は、主に「採用辞退を防ぐため」と「不要なトラブルを避けるため」の2つです。入社意思や条件を文書として確認することで、内定者の意思を明確にし、辞退リスクの軽減につながります。また、入社条件や約束事項を事前に共有・確認することで、企業と内定者の認識違いによるトラブル防止にも役立ちます。

入社承諾書に記載必須の項目とそのテンプレート

入社承諾書には、入社意思や誓約内容を明確にするため、必要事項を漏れなく記載することが重要です。企業によって形式は異なりますが、一般的な書き方や雛形を参考に作成すると、必要事項の漏れを防ぎやすくなります。

  • 社名、雇用主名と作成日
  • 「入社承諾書」などの表題
  • 採用通知を受理した旨
  • 入社を承諾する旨と入社日
  • 入社承諾日
  • 内定者の住所、署名、押印

必要に応じて、誓約事項や内定取り消し事由などを追加するケースもあります。

社名、雇用主名と作成日

入社承諾書には、提出先となる企業名(社名・雇用主名)を記載します。また、書類の作成日や提出日も明記することが一般的です。これにより、どの企業に対して提出された書類なのか、いつ時点の意思表示なのかを明確にできます。

記載例としては、「株式会社〇〇 御中」「〇年〇月〇日」などが一般的です。企業名は正式名称で記載し、作成日も漏れなく記載することで、書類の有効性や管理のしやすさにつながります。

表題

入社承諾書には、書類の内容を明確にするために表題を記載します。一般的には「入社承諾書」「内定承諾書」といった名称が用いられます。表題があることで、採用関連書類の中でも何の書類なのかを判別しやすくなり、管理や確認がスムーズになります。

記載する際は、書面中央に「入社承諾書」と大きく記載する形式が一般的です。

採用通知を受理した旨

入社承諾書には、企業からの採用通知内容を確認したうえで承諾していることを明確にするために、「採用通知を受理した旨」を記載します。

記載例としては、「貴社からの採用通知を受理いたしました」「採用内定通知を確認し、承諾いたします」といった表現が一般的です。

入社を承諾する旨と入社日

入社承諾書には、企業への入社意思と入社予定日を明確に記載します。これは、内定者が条件を確認したうえで正式に入社を承諾していることを示すためです。

記載例としては、「〇年〇月〇日付で貴社に入社することを承諾いたします」などが一般的です。入社日を明記することで、双方の認識違いを防ぐ効果もあります。

入社を承諾した日付

入社承諾書には、内定者が入社を承諾した日付を記載します。入社承諾の意思が示された時期を明確にすることで、書類管理や契約成立時期の確認に役立ちます。

記載例としては、「〇年〇月〇日」などが一般的です。作成日とは別に、承諾日を明記しておくことで、企業と内定者双方の認識を整理しやすくなります。

内定者の住所、署名、押印

入社承諾書には、本人が内容を確認し、承諾したことを明確にするために、内定者本人の住所・署名・押印欄を設ける必要があります。記載例としては、「住所____」「氏名____ 印」などが一般的です。特に署名は本人による自書が望ましく、押印とあわせて書類の真正性や本人確認の役割も果たします。

必要に応じて記載する項目とそのテンプレート

入社承諾書には必須項目に加え、入社手続きを円滑に進めるための事項を必要に応じて記載します。代表的な項目は以下の通りです。

  • 今後のスケジュール
  • 内定取り消し事由
  • 同封書類の返送期日
  • 記載内容に変更が生じた場合は速やかに連絡する旨

これらを明記することで内定者との認識違いを防ぎ、入社までの手続きをスムーズに進めやすくなります。

今後のスケジュール

入社承諾書には、必要に応じて今後のスケジュールを記載する場合があります。提出書類の期限や入社前面談、入社日までの予定を明確にすることで、手続きを円滑に進めやすくなります。

記載例としては、「〇月〇日までに必要書類をご提出ください」「〇月〇日に入社前説明会を実施します」などがあります。

内定取り消し事由

入社承諾書には、必要に応じて内定取り消し事由を記載する場合があります。これは、やむを得ない事情が発生した際に、どのような場合に内定を取り消す可能性があるのかをあらかじめ明確にするためです。

記載例としては、「履歴書等に重大な虚偽があった場合」「健康状態の悪化により勤務が困難となった場合」「卒業や必要資格の取得ができなかった場合」などが挙げられます。企業と内定者双方の認識違いを防ぐためにも、具体的かつ明確に定めておくことが重要です。

同封書類の返送期日

同封書類の返送期日は、入社手続きを円滑に進めるために必要に応じて記載します。提出期限を明確にすることで、書類の回収漏れや手続きの遅延を防げます。記載例としては、「同封書類を〇年〇月〇日までにご返送ください」や「必要書類は期限までに遅滞なく提出してください」などが一般的です。返送方法について併せて記載するケースもあります。

記載内容に変更が生じた場合は速やかに連絡する旨

入社承諾書には、必要に応じて、住所や連絡先などの変更が生じた際は速やかに連絡する旨を記載することがあります。企業が最新の情報を把握し、入社手続きを円滑に進めるためです。

記載例としては、「住所、氏名、連絡先その他提出内容に変更が生じた場合は、速やかにご連絡ください」などが一般的です。入社前の認識違いや連絡漏れの防止にも役立ちます。

入社承諾書に同封する書類

入社承諾書を送付する際は、入社手続きを円滑に進めるために、関連書類をあわせて同封するのが一般的です。また、企業によっては提出期限や返送方法を案内するための添え状を同封することもあります。必要書類をまとめて案内することで、内定者との認識違いを防ぎ、手続きをスムーズに進めやすくなります。代表的な同封書類は以下の通りです。

  • 内定通知書
  • 労働条件通知書
  • 雇用契約書
  • 機密情報保持誓約書
  • 身元保証書

企業によっては、返信用封筒を同封する場合もあります。

内定通知書

内定通知書は、採用予定者に対して正式に内定を通知するための書類です。主な記載内容として、内定決定の通知、応募への感謝、入社承諾書や必要書類の提出期限などがあります。また、企業によっては配属予定部署や勤務地、入社日などの情報を記載する場合もあります。採用予定者が今後の手続きを円滑に進められるよう、必要事項を分かりやすく明記することが重要です。

内定通知書の作成方法や記載内容について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。

内定通知書の雛型テンプレート|書類の役割や送り方、メール文例まで解説

労働条件通知書

労働条件通知書は、採用予定者に雇用条件を明示するための書類です。主な記載内容として、契約期間、就業場所、業務内容、始業・終業時刻、休憩・休日、賃金の決定方法や支払時期、退職に関する事項などがあります。労働条件は入社後のトラブルにつながりやすいため、内容に漏れがないよう正確に記載することが重要です。

雇用契約書

雇用契約書は、企業と採用予定者が労働条件に正式に合意したことを証明するための書類です。主な記載内容として、雇用形態、契約期間、業務内容、勤務地、勤務時間、賃金、休日・休暇などの労働条件が挙げられます。企業と採用予定者の双方が署名・押印することで契約内容を明確にできるため、入社後の認識違いや条件に関するトラブルの防止に役立ちます。

機密情報保持誓約書

機密情報保持誓約書は、企業が保有する機密情報の漏洩を防ぐために、採用予定者へ提出を求める書類です。主な記載内容として、機密情報の定義、情報漏洩の禁止、業務上知り得た情報の適切な管理方法、退職後の守秘義務、違反時の対応などがあります。企業の重要な情報資産を保護するための書類であり、情報管理に関するルールを明確に共有する役割を果たします。

身元保証書

身元保証書は、採用予定者の身元を保証するとともに、必要に応じて保証人が一定の責任を負うことを確認するための書類です。主な記載内容として、本人の氏名・住所、身元保証人の氏名・住所・本人との続柄、保証期間などがあります。緊急連絡先の確認や企業リスクの軽減を目的として提出を求めるケースが多く、内容を正確に記載してもらうことが重要です。

入社承諾書を作成するときのポイント

入社承諾書を作成する際は、入社後のトラブルを防ぎ、企業と内定者双方が安心して手続きを進められる内容にすることが重要です。特に以下のポイントを押さえて作成しましょう。

  • 入社承諾の条件を明記する
  • 内定取り消し事由を明記する
  • 税理士などの専門家に確認する

これらを適切に記載・確認することで、認識違いや法的リスクを軽減し、円滑な入社手続きにつなげることができます。

入社承諾の条件を明記する

入社承諾書を作成する際は、入社承諾の条件を明確に記載することが重要です。条件が曖昧なままだと、入社辞退や提出情報に関する認識違いからトラブルにつながる可能性があります。

記載例としては、「入社承諾書提出後は正当な理由なく入社を拒否しない」「提出書類に虚偽の記載をしない」「健康上の理由で入社が困難となった場合は速やかに連絡する」などがあります。条件は具体的かつ分かりやすく定めましょう。

内定取り消し事由を明記する

内定取り消し事由は、企業と内定者の間で認識違いが生じないよう、あらかじめ整理しておくことが重要です。条件を事前に共有しておくことで、企業と内定者の認識違いによるトラブルを防ぎやすくなります。

記載例としては、「卒業要件を満たせなかった場合」「必要な資格を取得できなかった場合」「履歴書等に重大な虚偽記載があった場合」「健康上の理由により勤務が著しく困難となった場合」などが挙げられます。事由は客観的かつ合理的な内容にすることが重要です。

税理士などの専門家に確認する

入社承諾書を作成する際は、税理士や法務担当者などの専門家に内容を確認してもらうことをおすすめします。特に、記載内容によっては印紙税の対象となる課税文書に該当する可能性があるため、税務上の取り扱いに不安がある場合は事前に確認しておくと安心です。

たとえば、「雇用契約の成立を証明する内容」が含まれている場合は、税務上の判断が必要になることがあります。作成前に専門家へ確認することで、法的・税務上のリスクを未然に防ぎやすくなります。

新卒採用と中途採用の入社承諾書の違い

新卒採用と中途採用の入社承諾書は、基本的な目的や記載項目に大きな違いはありません。いずれも内定者の入社意思を確認し、入社までの手続きを円滑に進めるために作成されます。

一方で、内定取り消し事由として記載される内容には違いがあります。新卒採用では、「学校を卒業できなかった場合」を事由として記載するケースが一般的です。これに対し、中途採用では、「入社日までに前職を退職できなかった場合」などが記載されることがあります。

入社承諾書のメリット

入社承諾書のメリットは、内定の成立時期や条件を明確にできる点にあります。採用内定通知書と入社承諾書を取り交わすことで、企業からの採用通知に対して内定者が正式に承諾したことを書面で確認できます。

口頭で内定を通知し、内定者が承諾した場合でも労働契約が成立することはありますが、成立時期や入社条件に関する認識違いが生じるおそれがあります。一方、入社承諾書を作成しておけば、双方の意思や条件を明確に記録できるため、入社前のトラブルや認識の相違を防ぐ効果が期待できます。

入社承諾書の適切な提出タイミング

入社承諾書は、企業が内定者を決定し、採用内定通知書を送付した後に提出してもらうのが一般的です。内定通知とあわせて送付することで、内定者は採用条件を確認したうえで入社意思を正式に示すことができます。

また、返送期限は採用内定通知書の発送日から2週間程度に設定されることが一般的です。あらかじめ期限を明示しておくことで、内定者の意思確認を円滑に行いやすくなり、入社準備や採用計画も進めやすくなります。

入社承諾書に関する注意点

入社承諾書を運用する際は、法的な取り扱いについて正しく理解しておくことが重要です。特に、以下の点には注意しましょう。

  • 入社承諾書に絶対的な法的拘束力はない
  • 正当な理由がなければ内定取り消しは認められない

入社承諾書は入社意思を確認するための重要な書類ですが、提出されたからといって企業や内定者の行動を無制限に拘束できるわけではありません。労働関係法令や判例を踏まえ、適切に運用することが大切です。

入社承諾書に法的効力はない

入社承諾書を提出した場合でも、それ自体に内定者を強制的に拘束する法的効力があるわけではありません。そのため、内定承諾後であっても、内定者が入社を辞退することは可能です。

ただし、企業側・内定者側の双方にとって影響が大きいため、辞退する場合はできるだけ早めに連絡することが望ましいでしょう。入社承諾書は法的拘束力よりも、入社意思を確認し、双方の認識を明確にする役割を持つ書類といえます。

入社承諾後であっても、内定者から辞退の申し出があるケースは少なくありません。内定辞退の実態や企業が取るべき対策については、以下の記事で詳しく解説しています。

内定承諾後の辞退はよくあるのか?リスクを避けるために人事ができる対策

正当な理由がなければ内定取り消しは認められない

一度内定が成立すると、企業は正当な理由なく一方的に内定を取り消すことはできません。内定取り消しが認められるためには、採用時には把握できなかった事実が発覚したことや、その取り消しが客観的に合理的かつ社会通念上相当であることが求められます。

たとえば、重大な経歴詐称や必要資格の未取得などが該当する場合があります。入社承諾書に内定取り消し事由を記載していても、正当な理由がなければ有効とは認められないため注意が必要です。

参考:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-Pa_3-Ch_2-Se_8-At_627

まとめ

入社承諾書は、内定者が企業への入社意思を正式に表明するための重要な書類です。入社意思や入社日、誓約事項などを明確にすることで、企業と内定者の認識違いを防ぎ、入社までの手続きを円滑に進める役割があります。また、内定通知書や労働条件通知書などの関連書類とあわせて適切に運用することで、採用辞退や労務トラブルの予防にもつながります。

一方で、入社承諾書には絶対的な法的拘束力があるわけではなく、内定取り消しにも厳しい制限があります。制度の目的や法的な位置付けを正しく理解したうえで、自社の採用方針に沿った内容を整備し、適切に活用していきましょう。

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