採用動画の導入を検討している採用担当者に向けて、効果・種類・作り方・費用相場をまとめました。活用企業の75.3%が効果を実感し、求職者の61.0%が比較検討の段階で動画を見ています。自社に必要な型と予算の見当がつく状態を目指します。
採用動画とは?新卒採用で重要になっている背景
採用動画とは、企業が採用活動のために制作する動画コンテンツの総称です。会社紹介、社員インタビュー、職場の様子などを映像で伝えるもので、採用サイトや求人媒体、会社説明会、スカウトの返信後の動線で使われます。
採用広報の中心は長くテキストと写真でした。変わったのは、学生が企業を調べるときに使う情報源そのものが動画側へ広がったことです。27卒の学生1,010人に業界研究で役に立つ情報源を聞いた調査では、SNSが38.0%、YouTubeが15.1%を占め、YouTubeは前年調査から大きく伸びたと明記されています。求職者側でも、比較検討の段階で採用動画を見た人が61.0%、視聴が応募の判断にプラスに働いたとする回答が90.6%でした。
出典:キャリタス就活 学生モニター2027「11月後半時点の就職意識調査 Vol.03」(2025年11月14〜21日調査・n=1,010/レポート)/株式会社moovy「採用動画トレンド調査2026」(2026年5月22〜29日調査・n=333/リリース)。ともに2026年9月7日取得。moovyは採用動画サービスの提供企業です。
採用動画の効果5つ
採用動画には、テキストの採用広報では届きにくい5つの効果があります。
- 記憶に残りやすい:社名と印象がセットで残る
- ミスマッチを防げる:職場の雰囲気を入社前に確かめてもらえる
- 自社の強みが伝わる:説明が長くなる事業や技術を短時間で見せられる
- 説明の工数を削減できる:毎回口頭で伝えていた内容を置き換えられる
- 認知度の向上につながる:SNSや動画プラットフォームで広がる
活用企業の回答では、エントリー数が増加した57.1%、認知度・ブランドイメージが向上した50.4%、面接や説明会での理解度が深まった45.4%が上位でした。出典:アルファノート株式会社「採用での企業ブランディング動画に関する実態調査(2026年版)」(2026年8月17〜18日調査・活用企業の人事担当者n=158/リリース・2026年9月7日取得)
入社後のミスマッチを防げる
採用動画は、入社前に職場の雰囲気を確かめてもらう手段になります。求人票や説明会資料で伝えられるのは事業内容・待遇・制度が中心です。実際に働く人の表情や現場の空気は、文章にするほど実感から遠ざかります。
入社前後の印象の差は、早期離職の一因になります。大学卒業者の就職後3年以内の離職率は33.8%でした(令和4年3月卒業者)。入社前に見た情報と実際が近いほど、この差は小さくなります。良い面だけを並べた動画より、仕事の大変さも含めて見せた動画のほうが定着につながります。
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」令和4年3月卒業者(令和7年10月24日公表/公表ページ・2026年9月7日取得)
説明会・スカウトでの活用で工数を削減できる
採用動画は、同じ説明を何度も繰り返す場面ほど効果が出ます。企業が挙げた活用シーンは、採用サイト・採用特設ページ45.6%、求人媒体45.6%、会社説明会・採用イベント44.3%の順で、選考や研修の手間が削減されたという回答も20.2%ありました(アルファノート株式会社・2026年8月)。
説明会では事業紹介を動画に置き換えると、担当者は質疑応答に時間を使えます。資料の作り方は会社説明会の資料に盛り込む情報にまとめています。スカウトの返信後も動画が効く場面です。ABABAの実績では、スカウトの開封率は33%です(2026年1月時点)。開封の直後に文章だけで説明するか、短い動画を添えるかで、面談までの温度が変わります。
採用動画の種類と活用シーン
採用動画は目的によって型が分かれます。主な5つを目的・尺の目安・活用シーンで整理しました。自社がどの段階で困っているかで、選ぶ型が決まります。
| 種類 | 目的 | 尺の目安 | 主な活用シーン |
|---|---|---|---|
| コンセプトムービー | 価値観・ミッションを伝える | 60〜90秒 | 採用サイトのトップ、SNS広告 |
| 社員インタビュー | 働く人のリアルな声を届ける | 2〜3分 | 選考中の志望度醸成、採用サイト |
| 事業・サービス紹介 | 事業内容をわかりやすく伝える | 2〜3分 | 会社説明会、スカウト返信後 |
| 社員の1日密着 | 入社後の働き方を具体化する | 3〜5分 | 内定者フォロー、選考終盤 |
| 座談会形式 | 社風・人間関係を伝える | 3〜5分 | 採用サイト、内定者向け |
コンセプトムービー
コンセプトムービーは、企業の価値観やミッションを伝える型です。個別の事業ではなく、その会社が何を大事にしているかを短い映像で示します。まだ自社を知らない学生と最初に接する認知形成・母集団形成のフェーズで力を発揮します。
社員インタビュー動画
社員インタビュー動画は、働く社員のリアルな声を伝える定番の型です。入社の決め手や仕事のやりがいを本人の言葉で語ってもらいます。選考中の志望度を上げる場面と、入社後の想像とのずれを減らす場面の両方で使えます。
事業・サービス紹介動画
事業・サービス紹介動画は、事業内容を平易に伝える型です。学生が消費者として触れる機会のない事業ほど、文章だけでは理解に時間がかかります。部品や法人向けサービスなど成果物が見えにくい事業で、説明会の理解度を底上げします。
社員の1日密着動画
社員の1日密着動画は、入社後の働き方を具体的にイメージさせる型です。出社から退勤までを時系列で追い、実際の業務をそのまま見せます。選考の終盤や内定者フォローで使うと、入社までの不安を減らせます。演出を抑えるほど伝わる情報が増えます。
座談会形式の動画
座談会形式の動画は、複数の社員の掛け合いで社風を伝える型です。台本を細かく決めない分、作り込み感が出にくく、職場の距離感が自然に伝わります。学生から実際に多い質問をテーマにすると、そのままFAQの役割も果たします。
【2026年】採用動画のトレンド
2026年の採用動画は、作り込みよりも伝わる速さと本物らしさに寄っています。主なトレンドは4つです。
- 縦型ショート動画:スマートフォンでそのまま見られる形式。認知の段階で使う
- 社員による自然体のVlog:社員自身が撮り、日常の空気を残す
- 裏側を見せる透明性重視型:仕事の大変さや失敗も含めて見せる
- インタラクティブ動画:見る人が職種や興味を選び、内容が分岐する
尺の使い分けにも実態が出ています。まだ知らない企業の動画は「30秒以上〜1分未満」が43.8%で最多、志望度が高い企業では「1分以上」が42.0%で最多でした。条件が同じ2社を比べる際に、採用動画の有無や質が最終判断に影響すると答えた人は87.7%です。4つに共通するのは、完成度より距離の近さが評価されている点です。
出典:株式会社moovy「採用動画トレンド調査2026」(2026年5月22〜29日調査・n=333/リリース・2026年9月7日取得)。調査主体は採用動画サービスの提供企業のため、方向性の参考として扱ってください。
採用動画を制作する手順
採用動画の制作は、次の6ステップで進めます。順番を飛ばすと、撮影後に「誰に何を伝える動画だったのか」が定まらず作り直しになります。
- 目的を決める:認知を広げる/志望度を上げる/辞退を減らす、から1つに絞る
- ペルソナを設定する:誰に見せる動画かを具体化する(採用ペルソナの作り方)
- 企画・構成を作る:伝える順番、出演者、撮影場所、尺を決める
- 撮影する:出演者の日程を先に押さえる。最も調整に時間がかかる工程
- 編集する:字幕を前提に組む。音声なしで見られる場面が多い
- 公開し、効果を測る:置き場所を決め、視聴完了率と応募への影響を見る
目的を1つに絞ることが最も重要です。認知も志望度も辞退防止もまとめて狙うと、尺が伸びて誰にも刺さらない動画になります。外注の費用内訳や依頼先の選び方は「採用動画制作の費用相場と依頼先の選び方|内製との比較も解説」で扱っています。
効果的な採用動画を作るポイント
効果的な採用動画には4つの共通点があります。
- 尺は5分以内に収める:全部入れると最後まで見てもらえません。1本に詰め込まず、目的ごとに分けます
- 倍速視聴を前提に編集する:間を詰め、字幕とテロップで要点を示すと、速く見ても内容が残ります
- ターゲット学生の視点で作る:配属の決まり方、1日の流れ、1年目の仕事といった具体的な疑問に答えます
- きれいごとだけにしない:仕事の大変さや向いていない人のタイプまで触れたほうが信頼されます
4つに共通するのは、見る側の時間を奪わないという考え方です。伝えたいことを全部入れた1本より、目的を絞った短い数本のほうが、最後まで見てもらえます。
採用動画の費用相場
採用動画の費用は、動画の種類と作り込みの度合いで決まります。公開されている料金情報を種類別の相場帯として整理しました。
| 動画の種類 | 費用の目安 | 金額を左右する要因 |
|---|---|---|
| 対談・Q&A形式(ショート含む) | 10万〜50万円 | 撮影本数、編集の簡素さ |
| 社員インタビュー | 30万〜80万円 | 出演者の人数、撮影場所の数 |
| 密着・ドキュメンタリー | 40万〜120万円 | 撮影日数、同行の有無 |
| 会社紹介 | 50万〜120万円 | 図解・CGの有無、ナレーション |
| ブランディング映像 | 50万〜150万円 | 企画の作り込み、演出の規模 |
出典:株式会社StokedBase「採用動画の費用相場|種類別の料金と予算別の始め方」(同社サイト・2026年9月7日取得)。制作会社の公開情報を参照して整理された相場帯であり、個別の見積もりとは異なります。
金額の幅が大きいのは、同じ「社員インタビュー」でも出演者が1人か5人か、撮影が1日か3日かで工数が変わるためです。相場表は上限だけを見ず、自社が何人・何か所・何本で作るかを先に決めてから当てはめてください。
費用の内訳は、ディレクション費・企画費・撮影費・編集費に分かれます。このうち撮影費と編集費は、出演者の人数と撮影場所の数、編集の作り込み度合いで変わります。予算を抑えたい場合は、出演者を絞る・撮影場所を1か所にする・既存素材を活用する、の3点が効きます。
よくある質問
採用動画の制作期間はどれくらいかかりますか?
期間を左右するのは撮影日数ではなく、出演者の日程調整と社内確認の回数です。企画の確定、出演依頼と日程調整、撮影、初稿の確認と修正、公開準備という工程を踏むため、確認フローが何段階あるかで所要期間が変わります。着手前に、誰がいつまでに確認するかを決めておくと短縮できます。
採用動画の長さはどれくらいが適切ですか?
まだ知らない企業には30秒以上1分未満が43.8%で最多、志望度が高い企業には1分以上が42.0%で最多でした(株式会社moovy「採用動画トレンド調査2026」)。認知の段階では短く、志望度が上がった段階では長めという使い分けが実態に合っています。
採用動画は自社で内製できますか?
社員インタビューや座談会のように、話す内容が主役になる型は内製しやすい部類です。一方でコンセプトムービーのように構成と映像表現が品質を左右する型は、外注のほうが結果を出しやすくなります。まず1本を内製して社内の反応を見てから、必要な型だけ外注する進め方もあります。
採用動画の効果はどう測ればよいですか?
再生回数だけで判断せず、視聴完了率と、動画を見た学生の応募率を合わせて見ます。活用企業が挙げた効果はエントリー数の増加57.1%、認知度・ブランドイメージの向上50.4%、理解度が深まった45.4%でした(アルファノート株式会社・2026年8月)。どれを狙うかを先に決めると、測る指標も決まります。
まとめ
採用動画は、テキストでは伝わりにくい職場の空気を届ける手段です。まず決めるのは目的を1つに絞ることで、そこから必要な型と尺、予算が決まります。作り込みよりも短くて実態に近いものが評価される流れなので、1本目は社員インタビューや座談会のように、話す内容が主役になる型から始めるのが現実的です。
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