採用ブランディングとは?進め方と効果の見方|知名度が低い企業ほど効く理由

掲載日: 2026-08-23 更新日: 2026-09-14
採用ブランディングとは?進め方と効果の見方|知名度が低い企業ほど効く理由

採用ブランディングとは、自社が誰に何を伝えるかを決め、選考を通じて一貫して届ける取り組みです。効果が最も出るのは、応募数を増やす段ではなく、内定を出した学生に承諾してもらう段です。言葉づくりだけを整えても、進め方の手順を踏まなければ運用が続きません。本記事では、進め方の5ステップとよくある失敗、効果の見方までを解説します。

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採用ブランディングとは、学生に何を伝えるかを決める工程

採用ブランディングとは、自社で働くことの何を、どの学生に、どんな言葉で伝えるかを決める工程です。決めた内容を実際に発信するのは次の工程で、採用ブランディング自体は発信の前段にあたります。

作業の中身は3つに絞れます。誰に来てほしいかを決める、その相手にとっての自社の価値を言葉にする、伝える内容と伝えない内容を仕分ける。この3つが終わっていれば、採用サイトの制作や説明会の内容は、決めた言葉に沿って作る作業になります。

伝えない内容を決める作業が抜けやすい。すべての魅力を並べた採用サイトは、学生から見ると他社と同じ内容になります。事業の成長性、社員の人柄、研修制度、働きやすさを4つとも並べた時点で、差はなくなります。

内定承諾率を上げる観点で何を伝えるかは、「内定承諾率を高める超効率採用術に学生側の反応とあわせて整理しています。

採用ブランディングと採用広報・採用マーケティングの違いは、工程の順序

採用ブランディングと採用広報、採用マーケティングの違いは、担う工程の順序です。3語は競合する概念ではなく、前後の関係にあります。

工程何をするか決めるもの
採用ブランディング誰に何を伝えるかを決める伝える言葉と、伝えない内容
採用マーケティング決めた内容を届ける仕組みを作るチャネルの配分と接触の設計
採用広報決めた内容を発信し続ける記事・SNS・イベントの中身と頻度

自社がどこで詰まっているかは、症状で判別できます。採用サイトも記事もあるのに学生の反応が薄い場合は、伝える内容が決まっていない状態です。伝える内容は決まっているのに届いていない場合は、チャネルの配分の問題になります。発信が止まっている場合は、運用体制の問題です。

届ける仕組みの作り方は採用マーケティングの進め方、発信の設計は採用広報とはにまとめています。本記事は最初の工程だけを扱います。

採用ブランディングの進め方5ステップ

採用ブランディングの進め方は、価値の棚卸しから接点への展開まで5つの手順で構成されます。手順を飛ばして接点への展開から始めると、伝える内容が定まらないまま発信量だけが増える結果になります。

[図版: 5ステップの全体像を示す図解/alt: 採用ブランディングの進め方5ステップの全体像を示す図解]

①自社の価値の棚卸し

自社の価値の棚卸しは、社員インタビューと内定承諾・辞退理由の分析から始めます。想像で「強み」を挙げるのではなく、実際に入社を決めた学生が挙げた理由を洗い出すことで、社内の思い込みと実態のズレを防げます。

②採用ペルソナの設定

採用ペルソナの設定は、価値を届ける相手の解像度を上げる工程です。年齢や興味関心まで具体化したペルソナ像をつくることで、次工程のメッセージ設計がぶれません。作り方は採用ペルソナとは?作り方や作る際のポイントを解説で解説しています。

③伝えるメッセージの設計

伝えるメッセージの設計では、棚卸しした自社の価値と、ペルソナの就活軸が重なる部分を言葉にします。自社視点の強みをそのまま並べるのではなく、相手が知りたい情報に翻訳する工程です。

④採用接点への展開

採用接点への展開は、採用サイト・説明会・スカウト文面・面接まで、決めた言葉を一貫して使う工程です。接点ごとに言葉が変わると、学生は複数の説明を比較して不信感を持ちます。

⑤効果測定と改善

効果測定と改善は、承諾率や辞退率の変化を追う工程です。具体的な見方は後述の「3つの数字で見る」で扱うため、ここでは測定を次のステップとして組み込む位置づけだけ押さえてください。

採用ブランディングが効くのは、母集団の量ではなく承諾の段

採用ブランディングの効果が最も大きく出る段は、内定から承諾までの段です。応募数を増やす効果もありますが、そこを主目的に置くと、効果が出るまでの期間が長すぎて社内の評価に耐えません。

根拠は学生側の行動にあります。就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議の資料では、学生が就職活動を終えたと考えるタイミングとして「内々定をもらった企業の中から就職先を決定したとき」と「志望度の高い企業から内々定をもらった時」が合わせて約6割を占め、「内定式に出た時・正式な内定通知を受けた時」は約1割弱にとどまるとされています。同じ資料は、企業が採用予定数を充足できたとする割合が直近(2025年卒)で3割台にとどまり、その理由として「内定辞退が予定より多かった」が挙げられていることにも触れています。

学生は複数の内々定を持ったまま、志望度が上がる企業を待ちます。この状態で順番を動かすのは、母集団の入口で見た広告ではなく、選考の途中で受け取った情報です。新卒の内定辞退率が卒業時点で6割前後に達している状況(出典:リクルート就職みらい研究所「就職プロセス調査(2025年卒)」)も、承諾の段が勝負どころであることを示しています。

ABABAの実績では、他社の最終面接まで進んだ学生にスカウトを送る形をとった場合、内定承諾率は62.4%(26卒)、内定承諾後の辞退率は15.13%(25卒)でした(自社実績・承諾率は2026年1月時点、辞退率は2025年12月時点)。選考の後半で会い、学生が何を重視しているかを聞いた上で伝える内容を決めると、承諾の段の数字が動きます。承諾率そのものの見方は内定承諾率の見方と上げ方を参照してください。

新卒採用の採用ブランディングは、学生の比較対象が内々定を持つ他社になる

新卒採用の採用ブランディングで中途採用と最も違うのは、学生が比較する相手です。中途の候補者は現職と比べますが、学生には現職がありません。比べるのは、同じ時期に内々定をもらった他社と、周囲の友人の内定先です。

この違いから、伝える内容の要件が変わります。

  • 業界内での位置づけを、学生が知っている会社との関係で説明する(学生は業界の構造を知らない前提で書く)
  • 入社1年目から3年目に何をするのかを、職種ごとに具体的な業務で示す(学生は仕事の中身を想像する材料を持っていない)
  • 配属の決まり方と、希望が通らなかった場合の扱いを明示する(配属は学生の不安の中心にある)
  • 待遇は金額だけでなく、生活として成り立つかが分かる形で示す(初任給の額面だけでは判断できない)

親や周囲の意向が承諾の判断に入るのも新卒の特徴です。同じ関係省庁連絡会議の資料は、内定辞退を抑えるための「オワハラ」や「オヤカク」といった、学生の職業選択の自由を妨げる行為の発生に留意する必要があると述べています。学生本人を囲い込む方向ではなく、学生が家族に説明できる材料を渡す方向で内容を作ります。辞退そのものへの対策は内定辞退を防止する方法にまとめています。

採用ブランディングは知名度が低い企業ほど効くが、空回りする条件がある

採用ブランディングは、知名度が低い企業ほど効果が大きくなります。学生の中に既存のイメージがないため、こちらが決めた言葉がそのまま第一印象になります。知名度の高い企業は既存のイメージを書き換える作業から始まるため、時間がかかります。

一方で、次の3つの条件のどれかに当てはまる場合、採用ブランディングは空回りします。

空回りする条件何が起きるか先に打つべき手
伝える内容が社内で一致していない面接官と採用サイトで違うことを言い、学生の不信につながる経営と現場で伝える内容を1枚に固める
選考中に学生と話す時間がない決めた言葉を渡す場面が存在しない選考フローに情報を渡す接点を作る
入社後の実態と言葉が離れている早期離職が増え、口コミで逆に効く実態に合う言葉へ書き直す

伝える内容が社内で一致していない状態は、採用サイトの制作を外注した企業で起きやすくなります。制作物は整うものの、面接官が同じ言葉を使っていなければ、学生は選考のたびに違う会社の話を聞くことになります。

知名度が高くない企業の実例が、ベイシス株式会社(通信・インフラ/従業員300〜500名/東京)です。同社は通信インフラ業界の働き方と自社のカルチャーの両方に合う人材の母数が限られ、施工管理などの業務内容から学生が興味を持ちにくいという課題を持っていました。

求める人材像と学生の興味の間にあるこのギャップを前提に、後半戦に強い採用として運用を組み替え、毎年コンスタントに数名を採用しながら他のチャネルより採用単価を抑えていることを公開しています(導入事例)。業務内容の見え方を変えるのではなく、興味を持つ可能性が高い学生に会う設計を変えた例になります。

発信側の工夫を見たい場合は採用広報が上手い企業の成功事例を参照してください。

採用ブランディングでよくある失敗と対策

採用ブランディングでよくある失敗は、言葉づくりの技術ではなく運用体制に起因します。進め方の手順を踏んでいても、次の3つは起こり得ます。

失敗起きること対策
かっこいい言葉が先行し、実態と乖離する入社後にギャップが生まれ、早期離職や口コミの悪化につながる棚卸しの段階で、実態にない言葉を採用しない
発信チャネルを広げすぎて続かない更新が止まったチャネルが、かえって印象を下げる内製できる工数から本数を決め、まず1つを継続する
経営層・現場を巻き込まず人事だけで作ってしまう面接官の発言と採用サイトの説明が食い違う価値の棚卸しとメッセージ設計に経営・現場を同席させる

いずれも、進め方5ステップの手順そのものは間違っていないのに、運用の途中で言葉と実態がずれていく点が共通しています。定期的に採用サイトと面接官の説明を突き合わせ、ずれを早期に見つける仕組みを持つことが、失敗を防ぐ最も確実な手段です。

採用ブランディングの効果は、3つの数字で見る

採用ブランディングの効果は、3つの数字で見ます。指標を増やすと、動いた数字と施策の関係が読めなくなります。

  1. 内定承諾率(内定を出した人数に対する承諾の割合)
  2. 内定から承諾までの日数(1人ごとの平均)
  3. 選考中の辞退率(一次面接以降の辞退の割合)

この3つを選ぶ理由は、いずれも伝える内容が変わったときに動き、かつ月単位で観測できるためです。応募数と採用サイトの閲覧数は、季節と媒体の影響を強く受けるため、施策の効果と切り分けられません。SNSの言及数を追う場合は、指名検索の推移とあわせて四半期で見ます。

比較する相手は自社の前年です。他社平均と比べても、選考回数も母集団の作り方も違うため、打ち手に変換できません。数字を採用計画の中に置く方法は新卒採用の戦略の立て方にまとめています。

採用ブランディングの費用と工数は、内製できる範囲から決める

採用ブランディングの費用は、最初の工程だけなら外注せずに進められます。決める作業に必要なのは、社内の合意と時間であって、制作費ではありません。

作業内製できるか目安の工数
誰に来てほしいかを決める内製できる採用担当と現場責任者で2時間×2回
自社の価値を言葉にする内製できる(社員への聞き取りが必要)社員5〜10名への聞き取りで合計5時間+整理3時間
伝える内容と伝えない内容の仕分け内製できる(経営の合意が必要)経営を含む会議で1時間×2回
採用サイト・動画などの制作外注が現実的制作会社との進行で2〜4か月
記事・SNSの継続運用内製が前提(外注すると止まる)月4時間から

社員への聞き取りは、入社1〜3年目の社員を対象にします。入社の理由と、入社前の想像と違った点の2つを聞きます。違った点を隠さずに集めておくと、伝えない内容の仕分けが早く終わります。

制作を先に外注すると、決まっていない言葉を制作会社が代わりに決める形になります。順番としては、伝える内容を固めてから制作に入ります。費用全体の中での位置づけは新卒採用コストの内訳を参照してください

承諾の段で学生に何を渡すかは、「内定承諾率を高める超効率採用術」に学生に好かれる会社と嫌われる会社の違いとして整理しています。選考の後半で学生に会う仕組みを確認したい場合は、ABABAのサービス概要から資料をダウンロードできます。

採用ブランディングに関するよくある質問

Q. 採用ブランディングと採用広報の違いは何ですか?

A. 採用ブランディングと採用広報の違いは、担う工程です。採用ブランディングは誰に何を伝えるかを決める工程で、採用広報は決まった内容を記事やSNS、イベントで発信し続ける工程になります。決める作業を飛ばして発信を始めると、発信の量は増えても学生に残る印象が定まりません。

Q. 新卒採用におけるブランディングとは?

A.新卒採用におけるブランディングとは、学生が内々定を持つ他社と比べたときに選ばれる材料を用意する作業です。学生には現職がなく、比較の相手は同じ時期に内々定をもらった他社になります。入社1年目から3年目の業務内容、配属の決まり方、待遇の生活実感といった、学生が自分で判断できない情報を具体的に示すことが中心になります。

Q. 事例はありますか?

A. 自社サイトで公開している例として、通信・インフラ業のベイシス株式会社(従業員300〜500名)があります。業務内容から学生が興味を持ちにくいという前提を変えずに、興味を持つ可能性が高い学生に会う設計へ運用を組み替え、毎年数名を採用しながら採用単価を抑えています。事例を探すときは、自社と従業員規模と知名度の近い企業のものを選ぶと、そのまま参考にできます。

Q. 効果はいつ出ますか?

A. 採用ブランディングの効果は、見る指標によって時期が変わります。内定承諾率と内定から承諾までの日数は、伝える内容を変えた次の選考シーズンから動きます。応募数と指名検索の増加は、発信を続けて1年から2年かかります。社内への説明では、先に動く承諾の段の数字を成果として置くほうが継続の判断がしやすくなります。

Q. 中小企業・BtoB企業でも採用ブランディングは必要ですか?

A. 中小企業やBtoB企業ほど、採用ブランディングの必要性は高くなります。学生が普段の生活で社名に触れる機会が少なく、業務内容も想像しにくいためです。知名度に頼らない経路として、社員の言葉で価値と業務内容を具体的に伝える設計が効きます。規模の大きさや事業のわかりやすさに関わらず、進め方5ステップの順番は変わりません。

Q. 採用ブランディングは何から始めればいいですか?

A. 採用ブランディングは、自社の価値の棚卸しから始めます。社員インタビューと、内定承諾・辞退理由の分析という2つの一次情報から着手すると、想像でなく実態に基づいた価値を言葉にできます。まとまった予算をかけられない場合でも、この最初の一歩だけは着手できます。

まとめ

採用ブランディングは、価値の棚卸しから接点への展開まで5ステップで進め、失敗の多くは言葉づくりでなく運用体制に起因します。まずは自社の価値の棚卸しから始めてください。

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