ダイレクトリクルーティングとは、企業が採用したい人材を自ら探し、スカウトなどで直接アプローチする採用手法です。「直接(ダイレクト)採用する(リクルーティング)」という意味のとおり、求人を出して応募を待つのではなく、企業の側から候補者との接点を作ります。本記事では、仕組みと従来手法との違い、メリット・注意点、費用の組み立て方に加え、新卒採用で使うときのポイントまで解説します。
ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングとは、企業が「欲しい」と考える求職者に直接アプローチする採用手法です。
求人募集で採用する方法とは異なり、企業が積極的に動くことで自社の目的に合う人材を獲得します。そのため、ダイレクトリクルーティングは「攻めの採用」といえるでしょう。
採用したいターゲットが属する母集団から人材を選び出し、個別にアプローチする作業が基本です。
近年では「ダイレクトリクルーティングサービス」を利用するのが一般的で、求職者データベースやスカウト機能を利用して効率的に採用活動を進められます。
ダイレクトリクルーティングの市場規模
ダイレクトリクルーティングは、市場規模が年2割前後のペースで拡大している採用手法です。矢野経済研究所の調査では、2023年度のダイレクトリクルーティングサービスの市場規模は前年度比23.2%増の1,074億円で、2024年度は前年度比18.7%増の1,275億円になる見込みとされています。同調査はダイレクトリクルーティングサービスを「Web上で求人企業(採用担当)が求職者へ直接アプローチ(スカウト)するプラットフォーム型の採用手法」と定義し、中途向けと新卒向けの両方を対象にしています。

出典:ダイレクトリクルーティングサービス市場に関する調査を実施(2024年)/株式会社矢野経済研究所/2026年10月9日取得(2024年8月6日発表・2023年度は実績、2024年度は見込み)
ダイレクトリクルーティングが注目される背景
少子高齢化で慢性的な人材不足が生じています。
インバウンド需要や拡大するEC市場などの新しい産業を担う人材、およびIT・DX化に必要な人材が求められているにも関わらず、供給が追いついていない状況です。
求人サイトやSNSなど、採用チャネルも数多く存在し、人材を集めるために必要なコストも増大しているといえるでしょう。
このような状況でも自社にマッチする優秀な人材を採用するために、ダイレクトリクルーティングが注目されています。
採用ターゲットを明確にして集中的にスカウトを実施することで、費用対効果の高い採用活動が可能です。
ダイレクトリクルーティングと従来の採用活動との違い
「求人媒体」や「人材紹介」での採用活動と、ダイレクトリクルーティングの違いを表で比較します。
| 求人媒体 | 人材紹介 | ダイレクトリクルーティング | |
| 方法 | 求人を公開して応募を受ける | 人材紹介会社から人材を紹介してもらう | 直接スカウトする |
| 母集団 | 多い | 求人媒体ほど多くない | ターゲットに限定 |
| 整合性 | ターゲットに一致しない人材が多い | ターゲットに近い人材に出会える | 自社で自由にターゲティングできる |
求人媒体は母集団を広く集めやすく、短期で応募数を確保したい大量採用に向く一方、応募の質にばらつきが生じやすく、選考のスクリーニング工数が増加する傾向があります。
人材紹介は要件に近い候補者を紹介してもらえる反面、成功報酬などによって採用単価が高くなりがちです。また、紹介数やスピードを自社でコントロールしにくい場合があります。
これらに対し、ダイレクトリクルーティングは採用ターゲットへ直接アプローチでき、応募待ち・ミスマッチ・選考工数増といった従来の手法の課題を「ターゲットの絞り込み」や「接点の能動化」によって補える点が特徴です。
ダイレクトリクルーティングでは、企業が本当に欲しい人材に出会う可能性が高いといえるでしょう。
6つの採用手法の比較表
ダイレクトリクルーティングとほかの採用手法は、誰が候補者を見つけるかと、費用がいつ発生するかで違いが分かれます。
| 採用手法 | 主体 | 費用の発生 | 工数 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| ナビサイト | 候補者が応募 | 掲載時 | 応募後の選考が多い | 母集団を広く集めたい |
| 人材紹介 | 紹介会社が推薦 | 採用決定時 | 比較的少ない | 少人数を早く採りたい |
| スカウト型 | 企業が送信 | 媒体の料金内 | 送信分だけ増える | 媒体の応募を補いたい |
| ダイレクトリクルーティング | 企業が探して接触 | 契約・決定時 | 運用の継続が必要 | 求める人物像が明確 |
| リファラル | 社員が紹介 | 紹介報奨金など | 社内の協力が必要 | 社風の合う人を採りたい |
| SNS採用 | 企業が発信 | 運用人件費が中心 | 継続発信が必要 | 中長期で認知を広げたい |
ダイレクトリクルーティングの特徴は、企業がデータベースから相手を選び、最初の声かけまで自社で行う点です。詳しくはダイレクトリクルーティングとスカウトの違い、ダイレクトリクルーティングと人材紹介の違いで解説しています。
ダイレクトリクルーティングが効果的なケース
ダイレクトリクルーティングは、次のようなケースで実施すれば高い効果が得られるでしょう。
- 専門性の高い人材を採用したい(ITエンジニアなど)
- 新しい分野・考え方を持った人材を採用したい
- 採用力を高めたい
- 自社の知名度が低い
専門性の高い職種は母集団が限定され、求人媒体では見つけにくいこともあるでしょう。
採用ターゲットを明確にすることは、採用率(採用力)を高くできるポイントです。
自社の知名度が低い場合は、認知度向上のために積極的に動き、自社の価値を伝えることが効果的です。
ダイレクトリクルーティングのメリット
ダイレクトリクルーティングには次のようなメリットがあります。
- ターゲットに直接アプローチできる
- 潜在層にアピールできる
- 効率的に採用活動ができる
- 採用コストを抑えられる
潜在層とは、自社のことを知らなかったり、自社をよく理解していない求職者のことで、自社のことを知れば働きたいと思う可能性のある層です。
自社のほうから能動的に働きかけることで、認知度・理解度を高めて採用につなげることが可能です。
ターゲティングによって効率的な採用活動を行うことが、費用対効果を高めることにつながります。
ダイレクトリクルーティングの注意点
ダイレクトリクルーティングは求職者との個別のやりとりが多い採用手法のため、採用担当者の業務量が多くなる傾向があります。
また、求人による採用とは異なるノウハウが必要です。
すぐに転職したいと思っていない求職者もターゲットになるため、拙速なアプローチは避け、長期にわたる丁寧な採用活動が功を奏します。
特に、スカウト文の質や候補者体験は返信率に大きく影響します。画一的な文面では反応を得にくいため、担当者のスキル向上やテンプレートの改善、配信分析ツールの活用が重要です。
継続的な接点づくりと関係構築を意識することで、返信率や採用成功率の向上につながります。
ダイレクトリクルーティングの手法と特徴
ダイレクトリクルーティングには次のような手法が用いられます。
- 人材データベースの利用
- ビジネスSNSの活用
- 採用イベント
- 社員や退職者からの紹介(リファラル)
求人サイトや人材紹介会社が持つ人材データベースを利用することが主な手法といえます。
スカウトメールの送信など、活動を支援するツールや情報が充実しているのが「ダイレクトリクルーティングサービス」です。
また、採用ターゲットの層によって適したサービスは異なります。
中途採用向けでは「ビズリーチ」や「dodaダイレクト」などが代表的です。これらは、即戦力人材データベースから直接スカウトできる点が特徴です。
新卒領域では「OfferBox」や「キミスカ」などがあり、学生プロフィールをもとに個別のアプローチが可能です。
また、「Wantedly」のように新卒・中途双方を対象とする総合型サービスもあり、こちらは企業のカルチャー訴求に強みがあります。採用ターゲットや体制に応じて使い分けることが重要です。
XやFacebook、LinkedIn(リンクトイン)など、ビジネスで用いられるSNSをダイレクトリクルーティングに活用することも可能です。
システムエンジニアの場合、社員や退職者からの紹介が効果的なケースもあります。
dodaダイレクトについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
dodaダイレクトとは?料金形態や特徴、サービス内容を徹底解説
ダイレクトリクルーティングの進め方
ダイレクトリクルーティングは次のようなステップで進めます。
- 目的・方針を明確にする
- 専任の担当者を選ぶ
- 求職者データベースから対象者を選出する
- 対象者にスカウトメールを送る
- 返信した求職者に対して選考・面談の案内をする
採用の目的は、例えば「新規参入事業に適した人材を採用する」などターゲットを明確にすることが重要です。
担当者の業務負荷が大きいため、他の業務と兼任させないほうがよいでしょう。
スカウトメールは相手に合わせた内容で説得力を持たせます。
お互いの「人となり」を理解するためのカジュアル面接を実施することも効果的です。
ダイレクトリクルーティングサービスの費用相場
ダイレクトリクルーティングの費用は、初期費用・月額(年額)・成功報酬の組み合わせで決まり、新卒向けと中途向けで確認すべき点が変わります。個別見積りのサービスも多いため、構成要素ごとに見積りを取り、自社の採用人数で割り戻して比べる方法が確実です。
| 費用の構成要素 | 新卒向けで確認する点 | 中途向けで確認する点 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 卒年ごとに発生するか | 契約時の1回だけか |
| 月額・年額 | 卒年単位の契約期間か | 月単位で止められるか |
| 成功報酬 | 内定承諾時か入社時か | 年収に連動するか |
| 送信通数 | 時期ごとの上限 | 職種ごとの上限 |
| オプション | イベント・送信代行 | 送信代行・求人票作成 |
見積りに自社の数字を入れると、料金体系の違うサービスを採用単価で並べられます。
| 項目 | 計算式 | 自社の数字 |
|---|---|---|
| 年間の総費用 | 初期費用+月額×利用月数+成功報酬×採用人数+オプション | (記入) |
| 1人あたり採用単価 | 年間の総費用÷採用人数 | (記入) |
| 必要な送信数 | 採用目標人数÷(承諾率×承諾後の採用決定率) | (記入) |
先行投資型は採用人数が多いほど単価が下がり、成果報酬型は人数に比例して総費用が増えます。採用目標が多い年は先行投資型、少人数の年は成果報酬型が合いやすくなります。導入の手順はダイレクトリクルーティングの始め方と運用手順で解説しています。
新卒採用でダイレクトリクルーティングを活用するポイント
新卒採用でダイレクトリクルーティングを使うときは、就職活動が早く進む前提で声をかける時期を決め、スカウトの成果を段階に分けて追うことが要点です。新卒向けには、学生が登録して企業からの連絡を待つスカウト型(逆求人型)のサービスを使います。
新卒の就職活動は前倒しで進む
新卒の就職活動は、政府が示す日程(広報3月1日・選考6月1日・正式内定10月1日以降)より早く進んでいます。関係省庁連絡会議の資料では、学生は4月までに累計で約9割が採用面接を受け、約7割が内々定を得ています。応募を待つだけでは早い時期の学生と話しにくいため、企業から声をかけられる手法の併用が有効です。
出典:2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方/就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議/2026年10月9日取得(令和7年12月26日決定)
新卒スカウトで見る3つの指標
新卒スカウトの成果は、開封率・承諾率(返信率)・承諾後の選考移行率に分けて見ると、直す箇所が分かります。開封率が低ければ件名と送る時間帯、承諾率が低ければ本文の個別性、選考移行率が低ければ承諾後の連絡の速さを見直します。ABABAの実績では、スカウトの開封率は33%、承諾率は5%です。数字はサービスや学生層で変わるため、自社の送信結果を基準線にしてください。
出典:ABABA公表数値(営業数値・スカウト開封率/スカウト承諾率、2026年1月4日更新)/株式会社ABABA
採用スケジュールへの組み込み方
新卒のダイレクトリクルーティングは、時期ごとに役割を分けて採用スケジュールに組み込みます。大学3年生の夏から冬はインターンシップ不参加の学生への最初の声かけ、3月前後は説明会・面談への案内、4月以降は未接触層の補充、という分け方が一例です。サービスは新卒向けのダイレクトリクルーティングサービス一覧で、取り組み例はダイレクトリクルーティングの事例で紹介しています。
他社の最終面接まで進んだ優秀な学生に、企業が直接スカウトできる新卒採用サービス「ABABA」の概要は、ABABAまるわかり資料(無料)でご確認いただけます。
ダイレクトリクルーティングを成功させるポイント
ダイレクトリクルーティングを成功させるには、次のポイントを押さえることが重要です。
- ターゲットを絞り込みすぎない
- 長期的な視野を持つ
- コンタクト後はスピード感を持って進める
- 経営陣や部門の協力を得る
- ノウハウを蓄積する
対象者がプロフィールを詳細に書いているとは限らないため、ターゲットを絞り込みすぎるとチャンスを逃します。
すぐに転職したいと考えていない求職者には、相手のペースに合わせた進め方が必要です。
コンタクトがとれたときには早めに会いましょう。カジュアル面談がおすすめです。
経営陣や担当部門の関係者が面談に立ち会うことで企業の姿勢をアピールでき、具体的な対話もできるでしょう。
【弊社事例】不採用通知に他社への推薦で2社内定
弊社のダイレクトリクルーティングサービス「ABABA」は、最終面接まで進んだ学生にスカウトを送ることができるサービスです。
企業からの不採用通知は「お祈りメール」と呼ばれますが、ABABAはお祈りメールの代わりに学生にエールを送る意味での「お祈りエール」の送信をお願いしています。
お祈りエールは、応援メッセージにABABAへの登録案内を添えたメールです。
大手通信キャリアのA社では「お祈りエール」を送るとともに、ABABAを通じて他社へ推薦を行った結果、2社で採用が内定しました。
まとめ
少子高齢化を背景として、インバウンド需要やECの拡大、IT・DX化に対応する人材の確保が急務となっています。
求人サイトを通じた採用だけでは、自社が求める人材を効率的に採用できないでしょう。
ダイレクトリクルーティングは企業が「欲しい」人材に直接アプローチする「攻めの採用手法」で、近年では効率的な採用活動をサポートする「ダイレクトリクルーティングサービス」を利用するのが一般的です。
ITエンジニアなどの専門性の高い人材や、新しい分野・考え方を持った人材、優秀な学生などの採用に、ダイレクトリクルーティングを活用しましょう。
ただし、導入を成功させるには専任担当者の設置や十分な工数の確保、スカウト文面や面談対応のノウハウ蓄積といった社内体制の整備が不可欠です。戦略と運用体制を両立させることで、継続的な成果を生み出すことが可能です。
>>いまさら聞けないダイレクトリクルーティングと人材紹介の違いとは
よくある質問
Q. ダイレクトリクルーティングは意味ないと言われる理由は?
A. ダイレクトリクルーティングが「意味ない」と言われるのは、送信相手の絞り込みや文面の個別化に手間がかかり、運用体制が整わないまま返信が少ない状態で終わる例があるためです。手法そのものより運用の問題であることが多く、担当者・月ごとの送信数・振り返る指標を先に決めておくと、続けるかどうかを数字で判断できます。
Q. ダイレクトリクルーティングは新卒採用でも使える?
A. ダイレクトリクルーティングは新卒採用でも使えます。新卒向けには学生が登録して企業からの連絡を待つスカウト型(逆求人型)のサービスがあり、ナビサイト経由では出会えない学生にも企業側から声をかけられます。学生の就職活動は早い時期に進むため、大学3年生の夏から冬に最初の接点を作る設計が向いています。
Q. ダイレクトリクルーティングと人材紹介の違いは?
A. ダイレクトリクルーティングと人材紹介の違いは、候補者を探して声をかけるのが企業自身か、紹介会社かという点です。人材紹介は紹介会社が候補者を推薦し、採用が決まった時点で成功報酬を支払う形が一般的です。ダイレクトリクルーティングは企業がデータベースから候補者を選んで直接連絡するため、転職や就職をまだ具体的に考えていない層にも接触でき、定額型の料金体系も選べます。
Q. ダイレクトリクルーティングの返信率の目安は?
A. ダイレクトリクルーティングの返信率は、サービス・職種・新卒か中途かによって大きく変わり、公的な統計で共通の目安は示されていません。送信のたびに開封率・返信率・承諾率を記録し、2〜3回分の実績を自社の基準線にして、件名や本文を変えたときの変化を比べる方法が確実です。
この記事の監修者
杉原 航輝(株式会社ABABA 執行役員)
関西外国語大学を卒業後、株式会社アイデムに新卒入社。法人営業として求人媒体や人材紹介を通じ、企業の採用支援に奔走。その後、株式会社ビズリーチにて関西支社の立ち上げに参画。ダイレクトリクルーティングを用いた採用コンサルティングで数多くの企業の課題を解決へと導く。バヅクリ株式会社では、新卒採用向けの内定者フォローや定着支援、ナーチャリング部門の立ち上げなどを牽引した。
2023年、株式会社ABABAに入社。執行役員としてマーケティング、インサイドセールス部門を歴任。現在は、組織の急拡大を支えるべく採用専任の責任者として、ABABAの「ファンづくり」を核とした採用戦略の立案・実行をリードしている。




