採用直結インターンとは? メリットと注意点をまとめて確認

2025年卒から正式に開始する「採用直結インターン」をご存じでしょうか。
インターンシップとは就業体験が主な目的であり、直接採用はこれまで禁止されていました。一方、採用直結インターンは採用を目的としてするインターンシップです。早期内定が実現する魅力的な就職活動として、企業と学生の双方から注目を集めています。
この記事では、採用直結インターンの特徴に加え、メリットや注意点について詳しく解説します。
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採用直結インターンに関する基本的知識
採用直結インターンが今のように浸透するまでには時間がかかりました。また、インターンシップの定義も細かく、使い方によっては誤解を招く可能性があります。この項目ではインターンシップ及び採用直結インターンの定義と歴史について触れます。
採用直結インターンとは
学生が在学中に仕事を体験する制度がインターンシップ(インターン)です。特に選考への優遇、採用につながるものを「採用直結インターン」と分類する場合があります。企業によってはインターン中に優秀な結果を残した学生に対して、選考セミナーや本選考での優遇、場合によっては内定出しも行っています。採用直結インターンはIT企業やスタートアップ企業などで採用されている場合が多いものの、かつては禁止されていました。
禁止から公認の歴史
そもそも採用開始時期には長年ルールが定められています。大学と政府によってつくられている「就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議」にて、大学生を対象とした選考開始時期は卒業または修了年度の6月以降とする協定を結んでいます。
このルールは変わっていませんが、特に2010年代はインターンシップとの線引きがあいまいなままでした。2010年代では6月の選考解禁前のインターンシップで選考に直結する内容は禁止されていました。しかし、このルールを守らない企業が多く、2019年に採用に直結するインターンシップの禁止が通達されています。禁止が通達されても、インターンシップの定義があいまいなままだったこともあり、通達を守る企業はごくわずかでした。
企業側も自社のインターンシップが通達によって禁止されているものかわからないままで、通達が機能しない……。この状況を打破すべく、2021年に文部科学省・厚生労働省・経済産業省が共同でインターンシップの定義と分類を決めました。この定義に沿った方法で実施するインターンシップであれば、インターン実施時に収集した情報を選考で使って構わないとしています。
このインターンシップの定義は2025年卒より適用され、採用直結インターンシップが公的に認められました。
インターンシップの定義
2021年に制定したインターンシップの定義は以下の通りです。
「学生がその仕事に就く能力が自らに備わっているかどのようにか(自らがその仕事で通用
するかどのようにか)を見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験(企業の実務を経験すること)を行う活動(但し、学生の学修段階に応じて具体的内容は異なる)」(インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る
取組の推進に当たっての基本的考え方 p1より)
大学の講義とは別に、学生のキャリア形成を手助けするものがインターンシップです。インターンシップは採用活動の一環と勘違いされやすいですが、政府の定義は異なる点を理解しましょう。
この定義に則り、インターンシップを4つに分類しています。
- オープン・カンパニー
- キャリア教育
- 汎用型能力・専門活用型インターンシップ
- 高度専門型インターンシップ(試行)
この分類の内、「汎用型能力・専門活用型インターンシップ」「高度専門型インターンシップ」は採用に直結しても問題ないとしています。この4つについては次の項目で詳しく説明しましょう。
インターンシップのタイプ分け
政府が定めたインターンシップのタイプには4つあります。それぞれの特徴を正しくとらえないと、学生向けの広報の際にトラブルとなる可能性が出てきます。自社でできるインターンシップはどれか考えながら解説を読みましょう。
1.オープン・カンパニー
オープンカンパニーは学生側にとっては最も気軽に参加できるインターンシップです。就業体験は行わず、会社や企業について知る場として設けられています。自社の関連業界セミナーや先輩座談会、工場ツアーなど良くあるコンテンツです。通常は1日で終わることがほとんどで、オンラインで実施して空きコマに参加を促すパターンもあります。低学年でも参加しやすい点がメリットですが、母集団形成には乏しいでしょう。
2.キャリア教育
キャリア教育は企業のCSRの一環としてキャリア形成を促すプログラムです。業界に関する説明だけでなく、簡単なビジネスゲームやグループワーク、場合によっては就業体験も実施します。就業体験が伴うかどうかは企業ごとの判断となりますが、1〜3日の短期間で実施できるので就業体験付きで実施する企業が多い傾向です。リクナビやマイナビなど有名な就職メディアに掲載しているインターンシップは、キャリア教育に分類されるものがほとんどです。
3.汎用的能力・専門活用型インターンシップ
汎用的能力・専門活用型インターンシップは採用直結インターンシップの一つです。企業もしくは産学連携、企業と地域コンソーシアムと連携して長期にわたり行われます。
内容は適性・汎用能力ないしは専門性を重視した内容となり、大学3〜4年生の就活を意識する学生向けのコンテンツです。企業側が学生の素質を見極め、採用するにふさわしいか判断することが目的です。ただし、実施には一定の条件が存在します。
汎用的能力・専門活用型インターンシップの必須要件
汎用的能力・専門活用型インターンシップで得た情報を選考で利用するためには、以下の条件を満たしてインターンシップを実施する必要があります。
- 実施期間の半分を超える日数を就業体験に充てる
- 職場の社員が学生を指導して、学生にフィードバックを実施
- 汎用能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上実施
- 卒業・修了前年度以降(例:大学3・4年生、大学院生)の長期休暇期間中に実施
- 学生情報を採用活動に活用する旨を募集要項に記載する
期間が長く、社員の負担も大きくなる傾向にあります。就労体験の内容次第では報酬支払いも必要となるので、コンテンツをしっかり練りましょう。
4.高度専門型インターンシップ(試行)
自然科学分野の博士課程学生を対象に行われるインターンシップが高度専門型インターンシップです。専門性を実践に生かし、知識と技術向上を目的としています。期間は2ヶ月以上と長期で、自分の研究も忙しい博士課程の院生の予定調整は必須です。長期の就業体験になるため、報酬の支払いが必要になる点も他のインターンシップと異なります。
文部科学省と日本経団連が共同で試行中ですが、2025年3月現在民間で実施している企業はありません。
採用に直結するインターンシップは他にもある
汎用的能力・専門活用型インターンシップや高度専門型インターンシップにしなければ採用につなげられない、というわけではありません。定義は定めているものの、法律ではないため強制力は伴いません。そのため、大手企業以外ではルールを破っている企業も複数存在しています。
ベンチャー企業やIT企業など経団連に加盟していない企業は定義や期間を守らず実施する傾向があります。本来は大学4年生から行われるはずの選考が、実質大学3年生の夏から始まっているともいえるでしょう。
採用直結インターンにおける選考・実施の流れ
採用直結インターンは、事前選考として書類選考から始める企業が最も多いといえます。
ここでは、採用直結インターンの代表的な選考ステップをご紹介します。
選考段階 | 選考の内容 |
1.書類選考(事前選考) | 一般的に、エントリーシートや履歴書が企業側に送付される。学生は、自己分析や企業研究をし自身をアピールする。 |
2.グループワーク・面接(事前選考) | 学生4人から6人で面接やグループワークを実施する。提示されたテーマを話し合い、代表者が最後に発表する流れが多い。なお、面接には個人と集団の両方がある。 |
3.選考合格 | 上記の事前選考で合否を決定する。インターンが不合格の学生も、本選考のエントリーでは受け付けることが多い。 |
4.インターン開始 | 合格者がインターンに参加する。学生は現場と同じ業務に取り組み、企業側は就業における学生の能力を見極める。グループワークを取り入れることもある。 |
5.採用決定 | インターン参加後、企業にとってふさわしい人材であれば合格として、採用が決まる。 |
採用直結インターンのメリット
採用直結インターンには、企業と学生の双方にメリットが豊富にあります。ここでは、採用直結インターンならではの魅力的なメリットを紹介します。
従来のインターンシップと異なる点もあるため、ぜひ参考にしてください。
やる気やスキルがある学生を見つけやすい
採用直結インターンでは、就業体験を通して学生の持つ能力やスキルを把握できます。したがって、業務内容の向き不向きに加え、企業方針や社風に合っているかをじっくりと見極められるでしょう。
また、早い段階でインターンシップに参加する学生の多くは、成長意欲の高い傾向があります。企業側は採用直結インターンを通じて、優秀な学生を見つけられます。
優秀な人材を早めに獲得できる
早い段階で優秀な学生に内定を出すことで、他社に人材が流れにくくなることもメリットのひとつです。学生側からしても、希望する企業から内定をもらったタイミングで、就職活動を終わらせられます。
優秀な人材を確保するには、早めに内定を出せる採用直結インターンの実施が効果を発揮するでしょう。
入社後のミスマッチを防げる
採用直結インターンへの参加で、企業と学生との間で密なコミュニケーションを図れます。加えて、業務における資質も確認できます。
そのため、入社後の早期離職やミスマッチを防げるでしょう。
学生は、インターン期間を通して会社に馴染みやすくなり、入社後も仕事をスムーズに進行できます。
採用までの期間を短くできる
一般的な就職活動は、広報解禁日である大学3年生の3月1日から開始されます。一方で、採用直結インターンは同学年の夏休みから始められるため、採用までの期間を短くできるという特徴があります。
広報解禁日以降に採用活動を開始しても学生が集まらないことは、近年の採用活動における課題です。採用期間の長期化や業務に大きな工数がかかることも懸念されています。
広報解禁を待たず早期から採用直結インターンを実施すれば、採用期間の短縮と業務削減を実現できるでしょう。
採用にかかる費用を抑えられる
採用活動では、求人媒体への掲載や説明会にかかる外部費用に加え、採用担当者への給与や出張交通費などの内部費用がかかります。一方、採用直結インターンは既に母集団が集まっているため、求人掲載や採用活動の費用を削減できます。
従来かかっていた費用を減らせる点は、大きなメリットです。
学生からの声が聞ける
採用直結インターンで、業務に対する新鮮な意見や新しい考えを学生から得られる可能性があります。企業への印象や評価を聞ける貴重な機会です。
学生からの意見を柔軟に取り入れることで、働き方や業務改善に向けた取り組みを図れることがメリットのひとつと考えられます。
採用直結インターンの注意点
採用直結インターンにはメリットや魅力が豊富にある一方で、注意しておきたい点もあります。ここでは、採用業務がスムーズに進行できるよう、事前に把握しておきたい注意点を紹介します。
就職サイトに掲載できないケースがある
採用直結インターンは、就職サイトによって掲載できるかできないかが異なります。そのため、インターンシップの実施内容が定義に沿っているかや掲載基準を満たしているかを、事前に確認しましょう。
ターゲットである学生の属性を分析し、質の高い母集団を形成できるサイトを選定してください。
インターンシップの準備が求められる
採用直結インターンでは、入社後と同じ業務内容を実施することが多いため、学生に任せる業務の計画と用意が求められます。
また、担当者や教育者の配置も必要です。さらに、業務によっては現場社員の同席が欠かせません。
採用直結インターンを実施するときは、これらを想定した準備が大切です。
内定辞退の可能性もある
早期に内定を出すと、企業と学生の双方にメリットがありますが、一方で学生が他社と比較検討をする可能性があります。
あまりに内定が早いと、学生が漠然とした不安を感じたり、他社の魅力や特徴に惹かれたりして、内定辞退が生じるケースも少なくありません。企業側は、内定辞退に備えて多めに内定者を出しましょう。
また、内定辞退の人数によっては、通常の選考が必要になることも考えられます。
まとめ
採用直結インターンは、優秀な人材を早い段階で確保できることが魅力であり、企業と学生の双方から注目を集めている選考方法です。企業側は、採用直結インターンを通して人材の育成や自社の魅力を発信できます。そのほか、参加者の能力を時間をかけてじっくりと見極め、ふさわしい学生を直ぐに採用できます。
一方で、早期に内定を出すことで、学生が漠然と不安に感じることもあるでしょう。採用直結インターンで起こりうる内定辞退については、以下も参考にしてください。
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