地方学生の採用が注目を集める理由!そのメリットとデメリットとは

地方の学生を自社で採用したいけど方法が分からないという悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
今回は、採用活動を成功させるポイントや、メリット・デメリットについて解説します。
効果的なアプローチを知って、効率よく採用活動を進めましょう。
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地方学生の採用が注目されている背景・理由
地方学生に注目が集まっている大きな理由の1つが、少子高齢化による労働人口の減少です。これは10年以上前から言われていることですが、加えてコロナ禍によるオンライン採用の浸透も影響しています。
地方学生の採用が注目される理由について詳しく解説します。
労働人口が減っている
新卒採用市場は、10年以上前から売り手である学生優位の状態が続いています。その最たる理由が、労働人口の減少です。少子高齢化が進み優秀な学生を確保しにくくなり、待ちの姿勢では学生の応募すら集まらない状況が長年続いています。
一昔前なら、企業の所在地も新卒採用における優位性に影響していましたが、現在はほとんど関係ありません。自社にマッチする学生を求めて、都市部だけではなく地方の学生にアプローチをかける企業が増加しています。
オンラインでの新卒採用が増えている
新卒採用における売り手優位の状況は長年変わりませんが、2020年を境に大きく変化したものがあります。それが、オンラインでの採用活動です。新型コロナウイルスの流行以降、インターンシップや仕事体験を一部オンライン化する、最終面接以外をオンラインで済ませるなど、採用活動のオンライン化が急激に進みました。
地方に住む学生は、都市部の企業面接を受けるたびに交通費がかかるため、選考に進む企業を厳選する傾向があります。これはコロナ前から変わっていませんが、オンライン化が進んだことによって気軽に受けられる企業が増えています。
採用が売り手市場になっている
現在の新卒採用市場は売り手市場が続いており、企業が人材を確保する難易度は年々高まっています。従来のように「募集をかけて応募を待つ」だけでは、十分な母集団を形成できず、優秀な人材の確保が困難になっているのが現状です。
そのため、企業側は自ら積極的にアプローチする姿勢が不可欠となっています。とくにオンラインでの採用活動が一般化したことで、地理的な制約が大きく緩和され、地方学生にも気軽にリーチできる環境が整いつつあります。
SNSやWeb面接などのデジタルツールを活用すれば、地方在住の学生にも自社の魅力を効果的に発信できるため、今まで接点を持ちにくかった層へのアプローチも可能です。
今後は地方学生を含む多様な人材への能動的なアプローチが、採用競争を勝ち抜くための重要なポイントとなるでしょう。
勤務地を重視する学生が増えている
近年、勤務地を重視する学生が増加しています。採用活動において企業側も、勤務地を重視する傾向を無視できない状況です。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、学生が企業に応募する際に最も重視するポイントとして「勤務地」が1位に挙げられています。また、コロナ禍以降は働き方や生活環境に対する意識が変化し、勤務地へのこだわりが一層強まっています。
実際に、2025年卒の学生では地元就職(Uターン就職を含む)を希望する割合が62.3%と高い水準で推移していました。理由として「両親や祖父母の近くで生活したい」「実家から通えて経済的に楽だから」など、生活基盤や家族との距離を重視する声が目立ちます。
そのため企業には、勤務地や配属先の情報を積極的に発信し、学生のニーズに応える採用戦略が求められます。企業にとっても、勤務地の柔軟な提示や地元採用の強化が、優秀な人材確保のカギとなるでしょう。
地方学生の就活市場における最新動向
近年、地方学生の就活スタイルは大きく変化しています。オンライン化の加速や都市部企業の地方採用強化により、地理的ハンデが縮小しつつあります。こうした背景を踏まえ、地方学生を取り巻く就活市場の動向を見ていきましょう。
地方学生は志望企業を絞ってから応募する傾向
地方学生は、都市部の学生に比べて就職活動にかかる交通費や宿泊費といったコストが高くなりやすく、気軽に複数の企業へエントリーするのが難しい傾向にあります。そのため、応募前にしっかりと業界研究・企業研究を行い、志望度の高い企業に絞ってエントリーするケースが目立ちます。少ないチャンスを無駄にしないよう、面接対策にも力を入れている学生が多く、企業側には明確で魅力的な情報発信や丁寧な対応がより一層求められるでしょう。
地方と首都圏では就職内定率に大きな差がある
地方と首都圏では、学生の就職活動におけるプレエントリー数に大きな差があり、それが内定率の違いにもつながっています。関東の学生は平均で24.9社にプレエントリーしているのに対し、北海道・東北では11.3社、中国・四国では13.1社と、地方ではその数が半分近くに留まっている状況です。この差は、アクセス面や情報量の違い、交通費・宿泊費といった金銭的負担などが背景にあり、結果として首都圏の学生の方が内定獲得の機会に恵まれやすい現状があります。
出典:全国求人情報協会「2022年卒学生の就職活動の実態に関する調査」
地方学生が抱える就活時の課題
都市部に住む学生と地方在住の学生には、就活事情に大きな差があります。中でも課題となる点は、「情報格差」「就活にかかる費用」「内定取得率」です。都市部の学生と地方学生との間で、どのような違いがあるのか解説します。
情報格差がある
インターネットの発達に伴い、都市部に住む学生と地方在住の学生との情報格差は以前より小さくなりました。しかし、物理的な距離が縮まったわけではありません。説明会・インターンシップに参加することで得られる企業の情報や社風など、その場に参加した人にしか分からないこともあるでしょう。
また、OB・OGに接触したいと思っても、首都圏の企業に勤める先輩は少なくツテがないと悩む学生もいます。就活をめぐる情報格差はいまだ存在します。
就活に費用がかかる
就職活動にかかるさまざまな費用も、都市部の学生に比べ地方の学生は多くかかります。就職活動のためにスーツやバッグなどを購入しますが、加えて地方の学生は都市部への移動費や滞在費がかかります。不慣れな土地で、就職活動を行う精神的な負担も少なくないでしょう。そのため都市部の学生が気軽に参加できる説明会も、地方から出てくる学生は厳選して参加します。Webでのセミナー開催や面接などオンライン化は進んでいるものの、それでもまだ地方学生の金銭的負担が大きいことは事実です。
内定取得率が低い
都市部の学生と地方の学生では、内定取得率に2倍の差があります。地方学生にとって、内定取得率の低さは大きな課題のひとつです。内定取得率が低い理由としては、まず都市部に比べると地方では就活の選択肢が少ないことが挙げられます。前述の通り、ネット社会である現代においても、都市部と地方ではどうしても情報格差が生じるのが現状です。その影響もあり、地方学生は就活の選択肢が少ない傾向にあります。
また、そもそもエントリー数が低いことも要因のひとつです。時間や交通費などの面から、地方の学生はエントリーする企業を選ぶ際慎重になります。志望業界や企業をある程度絞り込んでからエントリーすることが多いため、エントリー数そのものが少なく内定取得率の低さにつながっていると考えられるでしょう。
地方学生によくある特徴
地方の学生は以下のような特徴があります。
- 勉強やスポーツに打ち込んでいた学生が多い
- 素直で素朴
- 運転免許の取得率が高い
- 地方への再配属に抵抗感がない
都市部に比べると娯楽施設が少ないこともあり、勉強やスポーツに打ち込む学生が比較的多い傾向にあるでしょう。同時に、車社会のため通学に車を使う学生も都市部より多い傾向にあります。そのため、運転免許の取得率が高く、運転に慣れています。
また、地元志向の強い学生が多い点も特徴です。都市部の学生より地方配属に抵抗がない点も地方の学生ならではの特徴です。
地方学生を採用するメリット
都市部で優秀な学生を採用したくても、競合が多くて思うように進まないこともあるでしょう。
地方であれば比較的競合が少なく、優秀な学生を採用しやすいというメリットがあります。
オンライン採用を活用すれば、遠方に住んでいる学生にも効率的なアプローチが可能です。
優秀な学生を確保できる
地方の学生は、都市部に比べて就職活動にかかる交通費や情報量の少なさなどから、行動に制約を受けやすい傾向があります。しかしその一方で、採用担当者にとっては大きなチャンスでもあります。地方には旧帝大や国公立大学出身など優秀な学生が多く在籍しており、都市部に比べて就職機会が限られるため、競合他社が少ない状態でアプローチできるのが魅力です。近年は採用活動のオンライン化が進み、遠方の学生ともスムーズにコミュニケーションがとれるようになったことで、地方の優秀な学生を効率的に確保しやすい環境が整ってきています。
競合が少ない
地方における企業の数は都市部より少なく、そのため採用競争率も低めです。また地方の学生は、都市部の学生に比べて企業へのエントリー数が少ないため、もらったオファーには真摯に向き合う傾向にあります。企業の採用担当者から積極的にアプローチをすることで、採用につながりやすくなるでしょう。これまで採用競争率が激しく、思うように人材を獲得できていないと悩む企業にとって地方での採用活動は絶好のチャンスと考えられます。
自社のブランド価値が向上する
地方の学生を積極的に採用することで、地域との関係が深まります。
地方の採用活動にも真摯に取り組む姿勢は、学生にとって就職活動に協力的な企業として好印象に映ります。
地方の学生にもアピールすることで、企業の知名度を向上させることが可能です。
地方とのつながりを強化できる
採用活動を通じて地方とのつながりを強化することで、地方の大学にもアプローチがしやすくなります。
また、地元への愛着が強い学生も多く、将来的にはリファラル採用の強化にもつながるでしょう。
採用した新卒から後輩へよい口コミが伝われば、次年度以降は応募数の増加も期待できます。
自社アピールをきちんと聞いてもらえる
地方在住の学生は、首都圏に住む学生に比べて就職活動の情報量や企業と接触できる機会が少ない傾向にあります。そのような環境下で就職活動を行わなければならず、1社1社に真剣に向き合う可能性が高いといえます。真摯に取り組める学生に積極的なアプローチをすることで、自社の魅力をしっかりとアピールできるでしょう。
地方配属による内定辞退・早期退職を防止できる
地方に拠点を構える企業では「希望勤務地ではない」「実家から遠い」などの理由で、内定辞退されてしまう可能性があります。その点、地方在住の学生は都市部の学生に比べて地方に住むことへの抵抗感は強くありません。学生の出身地や近くの地方に拠点があれば、自ら希望する人材がいる可能性もあります。最初は都会で働いても、いずれ出身地に戻ることを望む学生には、地方に戻れる選択肢を示せば内定拒否のリスクを減らせるでしょう。
運転免許証の所持率が高い
一部の営業のように、運転免許を持っている人を採用した方が都合がよい業務もあるでしょう。
一方で、近年若者の車離れが指摘されており、電車やバスで移動できる都市部の若者は運転免許を持っていないこともあります。
地方学生は都市部の学生よりも運転免許証の所持率が高い傾向があり、日常的に運転することが多いといえます。
そのため、車を運転しなくてはならない場面がある仕事では、地方学生を優先して採用すると、採用後の仕事がスムーズに進むでしょう。
大手一択ではなく地元企業・中小企業にも関心を持つ
地方学生は、大手企業でなければならない固定観念にとらわれず、中小企業や地元密着型企業にも積極的に関心を持つ傾向が強いです。マイナビの調査によると、関東地方の学生に比べて地方学生の大手志向が低い結果が出ました。そして、「やりがい」や「働きやすさ」を重視して企業選びをしているケースが多い傾向があります。
そのため、地方学生は自社の社風や事業内容をしっかり理解したうえで入社を決める場合が多く、入社後の定着率やモチベーションの向上につながりやすいメリットがあります。
地方に拠点を開拓しやすい
地方学生を採用することは、企業が将来的に地方へ拠点を開拓する際の大きなメリットとなります。地方学生は地元での生活経験があり、地域の文化や商習慣に精通しているため、地方拠点の立ち上げや営業活動において即戦力として活躍できる可能性が高いです。
また、「出身が同じ」「地元トークができる」などの共通点を活かし、現地の顧客や取引先と信頼関係を築きやすい点も強みです。都市部出身の学生に比べ、地方配属への抵抗が少なく、定着率の高さも期待できます。
地方学生の採用は、地方開拓の戦力確保や地域密着型の営業展開、企業ブランディングの強化にもつながります。
リファラル採用を強化できる
リファラル採用(社員紹介制度)を強化したい企業にとって、地方学生の採用は大きなチャンスです。地元にネットワークを持つ学生は、地元の後輩や同級生、大学の友人などを紹介してくれる可能性があり、自然な形でリファラル採用の母集団を広げることができます。特に地方大学では情報格差がある分、信頼できる知人からの紹介が重要視される傾向があり、紹介された側のエンゲージメントも高まりやすい点はメリットです。結果として、質の高い候補者の獲得や採用コストの削減にもつながります。
地方学生を採用するデメリット6つ
地方学生を採用することにはさまざまなメリットがあることを紹介してきました。一方で、あえて地方学生を希望して採用するにはデメリットとなる注意点も存在します。地方学生へのアプローチを検討している企業の採用担当の方は、デメリットも理解したうえで対策を考え、検討を進めてみてください。
地元での就職希望も多い
地方の学生は、都市部ではなく地元で就職を望む場合が多いです。地方学生のうち6割以上の学生は地元での就職を希望しており、年々増加しているともされています。
そのため地元で就職を希望する学生に、自社の魅力を伝えて志望度を高めてもらうことを考えなければなりません。
また、地方に支店や部署がある場合などは、将来的に地元へ戻れる選択肢を提示することもひとつの手です。
時間や費用がかかる
地方学生の採用には、都市部の学生を採用するのに比べ、費用や時間などがかかる点には注意が必要です。
費用面では、選考のため採用担当の出張費や学生側の交通費・宿泊費の負担が生じる可能性があります。オンライン面接をする場合も、設備を整える必要があるでしょう。
費用がかかるだけではなく工数も増えるため、採用人数とかかる手間が見合わないこともあります。
地方学生にアプローチする際は、費用や手間などと採用するメリットを照らし合わせ、自社にとって本当にメリットのある選択であるかどうかをしっかり検討した方がよいでしょう。
ナレッジステーションの令和5年度学校基本調査データによると、東京は大阪の3倍以上の学生数です。
地域 | 学校数 | 学部学生数 | 入学者数 |
合計 | 810 | 2,632,775 | 632,902 |
東京 | 144 | 681,667 | 157,086 |
大阪 | 58 | 232,937 | 57,089 |
愛知 | 52 | 177,582 | 43,241 |
神奈川 | 33 | 175,187 | 47,792 |
京都 | 34 | 146,710 | 35,395 |
兵庫 | 35 | 114,154 | 27,095 |
福岡 | 35 | 108,785 | 26,055 |
千葉 | 27 | 107,835 | 27,174 |
埼玉 | 28 | 107,671 | 28,130 |
都道府県別大学数、学部学生数、入学者数 |令和5年度学校基本調査データ
地方学生と直接接触できる機会が少ない
地方学生と直接接触できる機会が都市部に比べて限られている点は、大きなデメリットのひとつです。
インターンシップや説明会、選考の多くは都市部で実施されるため、地方学生が企業とリアルにコミュニケーションを取る機会や情報量が限定的になります。たとえば、合同説明会の開催頻度は東京などの大都市が圧倒的に多く、地方都市では半分以下です。さらに、地方の中核都市以外では大規模なイベント自体がほとんど行われません。
そのため、地方学生は企業と直接会う機会が少なく、企業側も自社の魅力を十分に伝えきれないケースが多くなります。交通費や時間の制約もあり、地方学生が気軽に都市部のイベントへ参加するのは難しい現状です。
必ずしも内定率が高まるわけではない
地方学生の採用を強化しても、必ず内定率が大幅に向上するわけではありません。
厚生労働省と文部科学省のデータによると、関東地区の就職内定率が95.9%と全国で最も高い一方、中国・四国や九州など遠方の地方では内定率がやや低い傾向が見られます。地方学生にとって都市部での就職活動に伴う交通費や滞在費といった金銭的負担、さらには生活環境の大きな変化に対する不安が影響していると考えられます。
企業が地方学生の採用を積極的に進めても、経済的・心理的なハードルが内定承諾や定着に影響を及ぼしやすい点に注意が必要です。
入社後にも多くのフォローが必要になる
地方に住む学生が都市部の企業に就職するとなると、心理的な不安も大きくなるでしょう。見知らぬ土地で暮らすだけでなく、ほとんどの地方学生が実家暮らしのため、一人暮らしが初めてとなる場合もあります。環境や生活の変化に戸惑い、ホームシックになる可能性もゼロではありません。心理的な不安は早期離職につながる可能性があるため、同期との交流やメンター制度を充実させるなど、入社後のフォローを手厚くする必要があります。
配属先次第では早期退職の可能性がある
地方や地元への配属に抵抗が少ない地方学生であっても、配属先が本人の希望と異なる場合、早期退職につながるリスクがあります。
とくに「地元で働きたい」「慣れ親しんだ地域で生活を続けたい」と考えている学生にとって、全く知らない地域への配属はストレスの要因となります。環境の変化に適応できずモチベーションが低下しやすいです。
また、配属先の業務内容や職場環境が本人の希望や適性と合わない場合も、早期離職の一因となります。企業側としては、採用の段階で学生の希望や適性を丁寧にヒアリングし、配属後もフォロー体制を整えることが、早期退職リスクの低減に不可欠です。
地方学生の採用は企業の多様化や地域展開に有効ですが、配属先のミスマッチには十分な配慮が求められます。
地方学生の採用に向けた取り組み
地方の学生を採用するにあたって、どのような取り組みをすればよいでしょうか。
都市部に比べると、地域に密着した取り組みが有効です。
学生たちと直接会う機会を設けることで、自社の魅力を知ってもらえるきっかけになります。
学内の就職説明会への参加
学内の就職説明会に参加することで、学生たちと直接コミュニケーションが取れます。
自社の魅力や採用の熱意に対する学生からの反応を、肌で感じられる点が大きなメリットです。
大手の求人サイトが主催する合同企業説明会よりも出展料が安い傾向にある反面、抽選で参加できないこともあります。
地方採用に特化した就活サービスの利用
大手の就活サービスは都市部の学生も登録できることから、地方の学生に特化してアプローチすることは難しい可能性があります。
地方の学生のみが登録するサービスであれば、ターゲットを絞って効率よく採用活動ができます。
初めての地域で採用活動をする際は、地域ごとの雇用情報やニーズを把握しておいた方がスムーズに対応できるでしょう。
ハローワークを活用
ハローワークには、東京・大阪それぞれ1か所ずつに「地方就職支援コーナー」が設置されています。本コーナーでは、UIJターン(Uターン・Iターン・Jターン)を希望する求職者に対して、専門の相談員がきめ細かな職業相談や職業紹介を実施しています。
全国544カ所のハローワークネットワークを活用し、希望する地域の求人情報や地方企業とのマッチング、地方就職イベントの案内など、地域に根差した情報提供が可能です。
ハローワークは、特定の地域に無料で求人を出せるため、地方学生の採用強化の一環として活用してみるとよいでしょう。
インターンシップ制度を活用する
インターンシップは、学生に企業について知ってもらうよい機会だといえます。
インターンシップを活用すると、学生に企業の魅力を直接実感してもらえる場を提供できます。
これによって、志望度を高く保ったまま選考に進んでもらいやすくなるでしょう。
地方の学生を効率的にインターンシップに集めたい場合は、オンラインでのインターンシップ開催がおすすめです。
オンラインでのインターンシップなら、住んでいるところに関わらず気軽に参加できます。
ダイレクトリクルーティングの活用
ダイレクトリクルーティングとは、自社にマッチする人材を探してスカウトを送り、直接アプローチする手法です。
地方での知名度が高くない企業でも、学生とコミュニケーションをとるきっかけが作れます。応募を待つよりもこちらから働きかける方が、効率よく応募数を獲得できます。
UIターンする学生へのアプローチ
地方在住の学生だけでなく、Uターン・Iターンを考える学生も重要な潜在層といえます。学生の採用を地方に住んでいる学生だけに絞ってしまうと、人数が限られてしまい応募者を集めることが困難です。Uターンを希望する学生は、地元が好き・親や友達の側にいたいなど地元で働くことに魅力を感じているため理由が明確です。Iターン希望者も、地方で働きたい・生活したいという強い意志があります。そのような人材にいち早くアプローチすることで、優秀な地方の学生を獲得できる可能性が広がるでしょう。
企業説明会を地方やオンラインで行う
地方の学生が就職活動で抱える悩みとして、企業説明会に参加しにくかったり、交通費がかかったりする点が挙げられます。
このようなハードルを解消するためには、企業説明会の開催方法を工夫することがおすすめです。
企業説明会をオンラインで行うと、都市部・地方関係なく企業に興味を持つ学生が参加しやすくなります。
また、特に採用を強化したい地域がある場合は、現地で説明会を開催することもおすすめです。
地方で説明会を行うことで、学生は交通費をかけずに気軽に参加できます。
地方特化のメディアに求人広告を出す
メディアに求人広告を出すと、通常の採用活動だけではリーチできない学生に企業について知ってもらう機会になります。
広告を出すときは、採用したい人材に見てもらえるような媒体を選ぶことが重要です。
地方の学生の採用を協会したいときは、特定地域でのみ発行している新聞・雑誌・フリーペーパーや地方向け情報サイトなど、地方に根差したメディアに求人広告を出すことがおすすめです。
また、ローカルテレビ局やラジオ番組などを利用した広報も、地域密着型採用の効果的な手段だといえます。
交通費や宿泊費の負担
地方在住の学生にとって、交通費・宿泊費など就職活動にかかる費用の負担は大きく厳しいものがあります。移動の費用が理由で、応募を断念する学生も少なくありません。そのため、交通費・宿泊費の一部を負担することで、応募数を増やそうと試みる企業もあります。交通費の支給によって学生の負担を軽くすることで、地方の学生は応募することへの躊躇が減ります。しかし企業にも予算の都合があり、応募者全員への全額支給が負担になることは想像に難くありません。たとえば全額支給ではなく、全員に一律の交通費を支給したり、上限金額を決めて支給したりする方法もあります。全額ではなくても一部負担をすることで、地方学生への配慮が感じられ企業の好感度アップも計れるでしょう。
地元を巻き込んだプロジェクトの実施
地方でのインターンシップ開催や合同説明会の実施など、学生たちと交流の場を設けることも一つの手段です。
うまく宣伝できれば、多くの学校から一気に生徒を呼び込めます。
地方にサテライトオフィスを設置すれば、インターンシップを自社のオフィスでも開催できます。
リファラル採用の実施
地方の学生は、都市部の学生に比べて閉鎖的ともいえる環境に身を置いています。これは人間関係にもいえることで、コミュニティの狭さゆえ結びつきが強いとも言い換えられるでしょう。ゼミやサークルなどを通して先輩・後輩のつながりも強く、一度採用すればその後のリファラル採用につながる可能性を秘めています。また、説明会や選考過程でも学生によいイメージを持ってもらうことで、内定に至らずともよい口コミとして広がる可能性があります。現在は人材の獲得に苦戦中であっても、リファラル採用を意識することで将来的に好結果をもたらす可能性が高まるでしょう。
オンラインOB・OG訪問を実施
OB・OG訪問は学生の志望度向上において非常に有効な手段です。ビズリーチのアンケートによると、OB・OG訪問を経験した学生の72.6%が「訪問先企業への志望度が上がった」と回答しています。
しかし、従来のOB・OG訪問は都市部を中心に行われることが多く、地方学生にとっては交通費や移動時間が大きな負担となっていました。そこで有効となるのが、オンラインでのOB・OG訪問の実施です。オンライン化することで時間や交通費のコストが大幅に削減され、地理的なハンデや情報格差の軽減につながります。
また、オンラインOB・OG訪問は、訪問後も地方学生と企業側が継続的にコミュニケーションを取りやすいメリットがあります。現場で働く先輩社員のリアルな声や実体験を直接届けられるため、入社後のミスマッチや早期離職リスクの低減にもつながるでしょう。
スカウトメールを活用する
スカウトメールは、企業が学生に対して直接アプローチできる有効な手段のひとつです。特に地方学生は、都市部の学生に比べて企業情報へのアクセスが限られていることが多いため、企業側から積極的にスカウトメールを送ることで、自社を認知してもらうきっかけになります。また、学生側にとっても「企業から選ばれた」という実感が得られるため、好印象につながりやすく、応募意欲の向上も期待できます。志望度が明確でない層にもアプローチできるため、母集団形成の幅を広げるうえでも有効な施策です。
地方採用に特化した就職サービス3選
地方学生を対象にした採用活動では、情報格差や物理的な距離といった課題が生じやすいため、地域に特化した就職サービスの活用が有効です。ここでは、地方に強みを持ち、地元志向の学生との接点を効果的に築ける就職支援サービスを3つ紹介します。採用効率を高めたい企業にとって、これらのツールは心強い味方となるでしょう。
理系就職エージェントneo
「理系就職エージェントneo」は、理系学生に特化した就職支援サービスであり、特に地方在住の学生に対しても充実したサポート体制を整えている点が大きな特徴です。専任のキャリアアドバイザーが在籍しており、学生一人ひとりの専攻分野や志向に応じたキャリア相談を丁寧に実施。そのうえで、適性や希望に合った企業を紹介してくれます。履歴書やESの添削、模擬面接といった選考対策も充実しており、初めての就職活動でも安心です。企業側にとっても、全国各地にいる優秀な理系学生へ効率的にアプローチできるため、母集団形成の強化や採用の質向上にもつながります。地方採用を強化したい企業にとって、有効な手段のひとつといえるでしょう。
じもナビ
「じもナビ」は、地方就職を目指す学生と地域密着型の企業をつなぐ就職情報サービスです。地域ごとの特性や企業文化に精通した情報を豊富に掲載しており、地元志向の学生にとっては実用的で信頼性の高いサービスといえます。企業紹介だけでなく、実際に働く先輩社員のインタビューや、地域で働く魅力を伝える特集記事など、リアルな声を通じた情報発信にも力を入れています。学生は地元でのキャリア形成をより具体的にイメージできるため、志望度の高いマッチングが期待できるのも魅力です。企業側にとっては、地元を重視する優秀な人材に直接アプローチでき、定着率の高い採用活動を行える点でも有効な手段となります。
ジョーカツ
「ジョーカツ」は、地方学生の“上京就活”を支援するユニークなサービスで、東京での就職活動を希望する学生に向けて、交通費や宿泊費のサポート、キャリアアドバイザーによる個別相談など、幅広い支援を提供しています。特に、経済的な理由で上京就活が難しい学生にとって、金銭面の負担軽減は大きなメリットです。また、東京の優良企業とのマッチングイベントや面接機会の提供もあり、短期間で効率的に内定獲得を目指せる点も魅力。企業側にとっては、東京への強い意欲を持つ優秀な地方学生に直接アプローチできる貴重な機会となり、地方学生の獲得において有効な手段のひとつです。
地方学生の採用を成功させるポイント
公共交通機関が少ない地域は、会社に足を運んでもらうことが難しい可能性もあります。
選考回数を減らすことや、オンライン面接を取り入れることで学生の負担を軽減できます。
学生に寄り添った行動が、採用を成功させるポイントです。
選考を短縮化する
アクセスがあまりよくない地域で何度も面接を実施することは、学生にとって大きな負担になりかねません。
1回の選考で完結させる方法やインターンシップから直接採用する方法を取り入れることで、学生はもちろん、採用担当者にかかる負担も軽減できます。
オンライン面接を積極的に活用する
選考の短縮化が難しい場合は、オンライン面接を活用しましょう。
オンライン面接を取り入れることで気軽にエントリーされやすくなり、応募率の上昇が期待できます。
学生との接触回数を増やしたい場合は、面接だけでなくオンライン懇親会の実施もおすすめです。
SNSで企業情報を発信する
SNSが普及した現代社会においては、採用活動をするにあたってもSNSでの発信は必須です。現在学生の多くはSNSを通じて企業情報を得ているとされています。
企業情報から採用情報、実際に働く社員の声などを拡散し、より多くの学生に自社を知ってもらえるようSNSを上手く活用しましょう。
XやInstagramのほか、YouTubeによる動画配信も効果的です。
定期的に投稿してリアルな姿を見せることで、学生側は企業に対して親近感を抱きやすくなります。「この会社で働きたい」と思ってもらえるような発信を心がけましょう。
交通費や宿泊費を負担する
地方の学生が就活をする上で最も気になる点が、都市部への交通費や宿泊費です。これらの負担は学生にとって非常に大きく、費用が掛かるため選考に進まないと判断する学生もいます。そのため、企業が負担の大きい交通費や宿泊費を負担することで、地方学生の選考への参加意欲が上がりやすくなるでしょう。遠方から来る学生の負担を減らすことで、母集団の増加も可能です。また、企業からの配慮が伝わり好感度アップにもつながります。地方学生の採用を希望する企業は、費用負担の導入を検討しましょう。
配属先を早めに通知する
地方学生の採用を成功させるためには、配属先を早めに通知することが重要です。株式会社マイナビの調査によると、配属先を「入社前に知りたい」と希望する学生は8割以上にのぼることがわかりました。「内定通知前の面談・面接」や「内定通知と同時」など早い段階での通知を求める声が増加しています。
企業が配属先を早めに明示することで、学生の不安を払拭し、具体的なイメージを持って入社意欲を高める効果が期待できます。また、入社後のミスマッチや早期離職のリスクを軽減し、内定者フォローや業務準備のサポートにもつながります。
地方学生の志望度を維持し、定着率を高めるためにも、配属先の早期通知は有効な施策となるでしょう。
フォローを丁寧にする
いざ内定が決まっても、地元を離れる不安から内定辞退につながることがあります。
学生を不安な気持ちにさせないためにも、積極的にコミュニケーションをとり、丁寧なフォローを心がけましょう。
社員との面談や交流会の実施、内定者の家族へのフォローもおすすめします。
学生にとって都市部で就職するかどうかの決め手は?
学生が都市部ではなく地元で就職したいと考える理由はいくつか挙げられます。
- 両親や祖父母の近くにいたい
- 実家から通えて経済的に豊かでいられる
- 地元が好き
近年は転勤することに抵抗がある人も多く、実家から通える範囲内で就職活動をする学生もいます。
しかし都市部での就職は、地方より給与が高いことや職の選択肢も多いなど、よい面もたくさんあります。
地元に残りたい気持ちよりも都市部で働くメリットが大きいと、都市部で就職する決め手になるでしょう。
地方採用を成功させた事例
地方採用に取り組み、成功させた実例を紹介します。どのような取り組みをしたのか、成功の秘訣は何だったのかについても詳しく紹介しますので、地方採用を検討している企業の採用担当の方は、ぜひ参考にしてみてください。
株式会社サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェントでは、地方学生の採用強化が目的であるプロジェクト、「地方就活生コミュニティ FLATOP」を設立しています。地方の学生にも情報と機会を提供することを目的としたコミュニティです。関東圏の学生とインターンコースを分けており、平等な機会提供をコンセプトにしています。
zoomで開催されるオンラインインターンシップは、講義とワークを通じて事業力を身につけるためのものです。
ユナイテッド株式会社
ユナイテッド株式会社では、2015年から「1日完結選考」という独自の施策を導入しています。1日完結選考とは、会社説明会から内定通知まで選考に関わる全ての工程を1日で完結させる手法です。
説明会や一次面接、二次面接、最終面接と複数回の面接が必要な場合、地方学生にとっては時間や交通費などネックに感じる部分が多いでしょう。そうしたデメリットを克服できるため、地方からもより多くの優秀な学生を採用することにつながります。
企業側にとっても、複数回の出張が不要になったり学生の交通費や宿泊費の負担が軽減したりと、工数や費用の削減ができてメリットが大きい手法です。
地方での実施回数や開催する場所も増やしていて、地方学生採用強化に役立っています。
株式会社USEN-NEXT HOLDINGS
株式会社USEN-NEXT HOLDINGSは、「超!全力採用」という独自の先行プロセスを導入しています。
これは、地方学生を中心に、就職活動で不利になりやすい学生をサポートする選考プロセスです。
具体的には、最終選考までのすべての面接をスマートフォンを用いて受けられる「LIVEビデオインタビュー」や、面接官が地方に出向いて選考を行う「”全力”スカウトキャラバン」などを実施しています。
これらのサポートによって、地方在住就活生を手厚くサポートし、リーチできる人材を増やしています。
三幸製菓
米菓メーカーである三幸製菓は、「就職サイトデザインの変更」「パンフレットに巻物を用いる」などの手法でブランディングを強化することで、学生からのエントリー数を増大させたことがあり、採用活動に力を入れている企業だといえます。
これに加えて三幸製菓では、幅広い学生にリーチするための手段として、「カフェテリア採用」を導入しています。
これは、学生が5人以上の選考希望者を集めれば、人事担当が直接面接に訪れるという面接方法です。
これによって、学生自身の調整能力や周りを巻き込む能力を評価する一助にもなっています。
株式会社LASSIC
鳥取県に本社がある株式会社LASSICでは、就活サイトやリファラル採用を主軸に新卒学生を募集していましたが、自社にマッチする学生からの募集はごく僅かでした。
そこで、中途採用でも用いていた採用サービスを新卒採用でも利用することにし、事業の軸であるITではなく、ミッションである地域創生を前面に出した求人を掲載しました。
これにより、首都圏にあるIT企業との差別化ができ、全国各地からの応募を獲得し、学生とのミスマッチも防げています。
株式会社京王アートマン
株式会社京王アートマンでは、かつてはエントリー数が減少しているという課題を抱えていました。
また、採用担当専任の社員がおらず、採用の時期が業務が忙しくなる点も大きな問題点です。
株式会社京王アートマンはこれらの課題を解決するためにABABAを導入し、ダイレクトリクルーティングを導入しました。
これによって、最初は地元の学生に絞って行っていた採用活動を広範囲に拡大でき、価値観重視の採用活動が可能になりました。
株式会社ハシゴ
株式会社ハシゴはサイバーエージェントの子会社で、福岡を拠点にWebサービス事業を展開しています。地方にいながら首都圏並みのクオリティに関われる点が特徴です。
採用では、福岡在住の地方学生向けに自己分析や面接対策などの就活支援を実施しています。地方学生は都市部の学生より就活の情報量が少なくなりやすいため、企業の認知度アップも図りつつ都市部の学生に負けない就活を支援しています。
株式会社新東通信
愛知県名古屋市に本社を構える株式会社新東通信は、就活サイトで質のよい母集団形成ができない点に悩んでいました。そこで、企業ミッションや仕事のやりがいに焦点を当てられる就活サイトへ切り替え、ブログ機能では新入社員だけでなく、内定者目線での情報発信にもチャレンジしています。
また、ブログ運営は若手社員に任せており、より就活生目線の情報発信ができた点も成功した要因でしょう。ある年の新卒採用では、仙台と広島に住む学生2名に内定を出しています。名古屋から遠く離れていても、価値観が合えばマッチングできる好事例といえます。
リスタンダード株式会社
アスリート特化の採用プロモーションを行うリスタート株式会社は、認知度の低さが課題でした。そこで、知名度に左右されない就活メディアに求人を掲載し、地方学生からの募集を勝ち取ることに成功しています。
採用成功の秘訣は、社員の声をブログに掲載したことです。ブログでは「なぜアスリートとビジネスを両立できているか」「入社した理由は?」など、社員のバックグラウンドを紹介しています。社員のバックグラウンドを紹介することで、企業の魅力やカルチャーを発信でき、地方学生からも関心を得ることに成功しました。
まとめ
地方での新卒採用は、競合が少ない中で優秀な学生を採用できるメリットがあります。
また、地方の学生にアプローチすることで、自社の知名度を上げることやブランディングにもつながるでしょう。
新たな地域で採用活動を始める場合は初期投資が必要ですが、次年度から採用した新卒からのリファラル採用を増やせれば、採用にかかる費用や時間は徐々に削減できます。
地方の学生を採用したいなら、学生に直接アプローチをして採用への熱意を伝えましょう。
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