HRBPとは?HRBPの役割や求められている背景を解説します!

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「HRBP」と聞くと、人事を思い浮かべる人が多いでしょう。一方で、HRBPと人事はそれぞれ業務内容が大きく異なります。

HRBPの役目は、管理業務を中心とした従来の人事ではなく、経営者のパートナーとして人事戦略を立案し、実行することです。

本記事では、HRBPの基礎知識をはじめ、必要になった背景やどのような役割を担うのかなどを分かりやすくご説明します。

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HRBPとは? 

HRBPは、「Human Resource Business Partner」という言葉の頭文字からできています。「HRビジネスパートナー」と呼ばれることもあり、最近注目を集めている人事機能のひとつです。

HRBPの主な仕事は、ひとことで説明すると「経営戦略」です。HRBPは、経営者や事業部門責任者のパートナーとなり、人材組織の面から事業成長をサポートします。

いわば、事業成長のために、人事とビジネス両方の観点から事業成長を図ることが目的です。

ウルリッチの定義

HRBPは、ミシガン州のビジネススクールのウルリッチ教授が定義した概念です。

ウルリッチ教授は、「戦略パートナー」「管理エキスパート」「従業員チャンピオン」「変革エージェント」と、人事の4つの役割を再定義しました。

「人事の担当者は人事としての機能を保ちながらも経営視点を持つべきだ」と提唱したのがこの定義です。

企業を成長させるための戦略的な人事を行う専任の担当者がHRBPだといえるでしょう。

HRBPと人事の違いは? 

HRBPは人事機能のひとつである一方、それぞれの業務内容は大きく異なります。

HRBP人事
役割経営戦略で人事マネジメントを行い、経営側と現場をつなぐ企業組織の制度や環境を整え、社員が効率的に働けるよう運用や管理をする
業務内容企業の目標に対して、人事と組織の両面から戦略を策定する給与や福利厚生計算など、労務管理を中心とした業務
経営者との関係経営社や責任者のパートナーとなって人事戦略を共に構築する経営者が定めた人事戦略に従って業務を行う
立ち位置社員チャンピオン社員のうちのひとり
スタンス攻めの人事守りの人事

HRBPが求められている背景は? 

従来の人事があるなかで、なぜHRBPが求められるようになったのでしょうか。

その背景には、時代とともに変化した2つの問題があげられます。

ここでは、HRBPが求められるようになったとされる代表的な2つの原因を解説します。

少子高齢化による労働人口の減少 

昨今、少子高齢化が深刻な社会問題になっていることは、多くの人がご存じでしょう。少子高齢化の影響で人手不足が加速し、採用の現場においても人材獲得競争が激化するといわれています。

人材獲得が難しい現代だからこそ、企業の経営戦略上の課題を踏まえてうえで、人事戦略と両面で捉えるHRBPのようなポジションが必要とされています。

VUCA時代に組織が成長するため 

VUCAとは、以下の頭文字からできた言葉で、「不確定で不安定、複雑な世の中」という意味があります。

  • Volatility:変動性
  • Uncertainty:不確実性
  • Complexity:複雑性
  • Ambiguity:曖昧性

変化が激しい現代では、企業や組織、個人などにおいて、あらゆる要因で未来が予想しにくい事態が起こっています。このような状況を「VUCAの時代」といい、これまで当たり前だったことを疑ったり対応を変更したりすることが、企業や個人に求められています。

一方、このような事態に対して根拠や知見がなければ、適切な対応は難しいでしょう。

人事領域と働き手の観点から「変化に対応できるプロフェッショナル」として重要な役割を担うことが、HRBPに求められています。

HRBPの役割は? 

HRBPの具体的な業務内容や役割が分からない人も多いでしょう。

ここでは、HRBPが担う重要な役割とその内容をご紹介します。

人事戦略の立案 

HRBPの大きな役割は、企業全体の目標を実現するためのプロセスを、経営者のパートナーとして共に考えることです。

従来の人事では、「経営者が決めた戦略を実行すること」が主でした。一方HRBPでは、企業の課題を経営者と一緒に今後のプランを考え、目標達成のためにどのような人事戦略をすればよいのかを考案します。

人事戦略の立案では、以下のようなことを中心に考案します。

  • 今後どのような組織・企業を作りたいか
  • 希望する組織を作るためにはどのような課題を解決すればよいのか
  • 課題解決のためにはどのような人材および教育が必要なのか など

組織開発 

HRBPは、今後の経営プランに沿って組織開発をします。組織開発とは、企業内の関係性が円滑になるよう働きかけることです。

例えば、「新卒で入った社員が毎年すぐに辞めてしまう」という課題があるとします。

「辞めた新卒社員が自社に合わなかった」と簡単に片付けてしまえば、組織は今後も変わらないでしょう。

一方で、「自社の社風や接し方に問題があったのでは」「教育制度の不十分さが新入社員を遠ざける理由にになったのでは」など、原因を探して改善策を見出せば、組織は変わります。

HRBPは、組織の関係を良好にするための具体的な改善策を探す役割を担う、重要なポジションといえるでしょう。

人材開発 

人材開発とは、組織のなかで「人」が最大限パフォーマンスできるようサポートし、個々のスキル向上を図ることです。

そのためには、社内研修やOJTなどの制度を見直し、整えることが求められます。

また、一人ひとりの特性やスキルを把握し、それに基づき適切な人材配置やキャリアプランを考案します。

HRBPは、組織と人の双方を活性化させ、未来のビジネスリーダーを育てたり、課題解決や目標達成をしたりするための「戦略人事の役割」を担うといえるでしょう。

経営層と社員の橋渡し 

HRBPには、経営層と社員の間に入り橋渡しするという重要な役目があります。経営層の考えや意向を社員に伝えたり、一方で社員が抱える課題や悩みを経営層に伝達したりと、組織全体に目を向ける役割を担います。

組織内の風通しを良好にし、社員のモチベーションを高める役割ともいえるでしょう。

組織全体とコミュニケーションをとりつつ、人事戦略を社内に行きわたらせることで、企業の連携を図ります。

HRBPに求められる能力は? 

プロフェッショナルな業務に加え、幅広い立場の人と関わるHRBPには、大きく2つの能力が求められます。

ここでは、HRBPに必要とされる主要な能力をご紹介します。

経営視点と戦略的思考力 

HRBPは、経営層と連携したうえで経営や事業への戦略を考案します。そのため、経営や事業の課題解決に対する的確な方法やプロセスを、論理的に考えられる能力が求められます。

また、HRBPは組織におけるビジネス戦略に対して密接に関与する点が特徴です。これに伴い、HRBPには人事戦略を「組織の成長」に結びつける能力が必要です。

組織の成長に必要と考えられる人員数やペルソナ、新入社員の育成計画など、さまざまな手段を最適に計画する力がHRBPに求められます。

人事としての経験・能力

最適な人材管理と組織運営には人事としての経験や能力が欠かせません。人材の採用から育成、人材配置、人事評価、モチベーション管理など幅広い領域の知識が問われます。

同時に労働基準法・労働組合法・労働関係調整法の労働三法に関する知識は必要不可欠です。最低賃金法や職業安定法など人事領域に関する知識も活用できます。スペシャリストレベルの知識があれば鬼に金棒でしょう。

コミュニケーション能力 

HRBPは、経営陣をはじめ、管理職や従業員など多様な立場の人と関わるため、コミュニケーションをスムーズに行う能力が必要です。さらに、組織内の異なる部門や経営層と一体となり、協力体制を構築する役割を担います。

そのためHRBPには、あらゆる立場や役職に関係なく、信頼関係を築き上げ一体となるためのコミュニケーション能力が求められます。

また、コミュニケーション能力には、それぞれの意見や意向を確認し、双方が理解と共有できるよう促すためのスキルも必要です。相手の思いを汲み取る力や、分かりやすく伝え意思疎通を図る能力など、さまざまなスキルが求められるでしょう。

課題解決能力

HRBPには、経営戦略や目標達成のために自社が抱える課題を見つけて解決する能力が必要です。

現状を分析し、最適な課題解決策を見つけ出す能力や柔軟性は、HRBPにとって重要な能力のひとつといえるでしょう。また、経営戦略のための豊富なアイデアを発案する想像力や独創性も求められます。

幅広い知識やスキルを駆使して課題解決に取り組むのが、HRBPの役割です。

HRBPの役割が発揮されることによるメリット

HRBPの役割が発揮されることにはさまざまなメリットがあります。人事としての機能を持ちながらも経営者の視点を持つHRBPが機能することにより、どのような効果を得られるのか詳しくご紹介します。

社会の変化に対応できる

現代社会は変化の激しい時代と言われており、世の中の動きは予測が困難です。経営層は、社会状況の変化に合わせて経営戦略や事業戦略を考えなければなりません。

しかし、経営層の方針が固まって指示が下りるのを待っていては、時代の変化についていけないこともあるでしょう。

そうしたときに経営者の視点を持つHRBPが機能していれば、より迅速かつ柔軟に社会状況への対応が可能です。

人手不足が深刻化した際やコロナ禍のような事態にも、迅速に適切な対応ができるでしょう。

戦略人事を推進できる

従来の年功序列の人事ではない、戦略人事を推進できる点も、HRBPの役割が発揮されるメリットです。

経営者の視点を持つHRBPが機能することで、“攻めの人事”ともいえる経営戦略と連携した戦略人事を推進できるため、より優秀な人材を登用しやすくなります。

優秀な人材は若手であっても早期に上位のポジションにつけるようになると、能力を適切に評価される環境となるため、結果として企業の業績を伸ばすことにもつながるでしょう。

タレントマネジメントが進められる

タレントマネジメントとは、社員が持つ能力や個性などの情報を経営資本として考え、採用や育成、配置に活用することです。各社員がどのような能力やスキルを持っているのか、適性から判断して業務の内容や配属部署を決定します。

社員と組織のパフォーマンスを最大限引き出すために、タレントマネジメントはこれからの経営戦略には欠かせない手法です。

経営戦略と人事戦略を連携させられるHRBPの役割が発揮されることで、タレントマネジメントを有効に進められます。

HEBPの導入ステップ

HRBPは、戦略人事を推進するにあたって重要な役割を担います。

導入する際には以下の4つのステップを踏むのが一般的です。ステップごとにそれぞれ詳しく解説します。導入を検討中の担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

【ステップ1】今後の人事戦略を明確にする

まず始めに、今後の人事戦略を明確化することが大切です。導入の目的ともいえる人事戦略について、自社の経営方針や経営戦略と併せて必要な人材や目指す組織を明確にしましょう。

人材の確保については、採用するだけではなくその後社内で育成する必要があります。その点も加味したうえで計画を立て、人事戦略にまとめましょう。

HRBPの導入は、あくまで手段のひとつです。しっかりと自社の人事戦略を明確にし、役割を定めておく必要があります。

【ステップ2】体制を整える

人事戦略の検討が完了して明確化したら、次にHRBPの体制を整えましょう。

現行の人事部に配置するのか、新たに部署を作るのかなど、運営組織の検討が必要です。

HRBPには、さまざまな能力や経営者の視点が求められます。たとえばこれまで労務中心だった人事部にいきなりHRBPを導入しても、上手く役割を発揮できない恐れもあるでしょう。

適任者を探すのかこれから育成するのかなど、人材の確保についても検討して体制を整える必要があります。

【ステップ3】トライアル導入する

HRBPは、一般的にはまだまだ浸透していない役割です。いきなり運用を開始するのではなく、トライアル導入から始めましょう。

試験的にトライアルから始めて、段階的に運用を進めるのがおすすめです。

HRBPの役割を最大限発揮するためには、現場との信頼関係を構築する必要があります。人事側だけではなく、部門側にとって良い相談相手だと認識してもらえるよう、社内への周知も忘れず行いましょう。

【ステップ4】運用を開始する

最後に、トライアルで成果が現れ始めたらいよいよ本格運用の開始です。本格的に戦略的な人事施策を実行するために、経営層と現場、それぞれとの連携をとりながら運用しましょう。

小さな課題への取り組みから大きな課題の解決に向けて取り組めるよう、担当者の課題解決能力を高めることも重要です。

HRBPに必要なスキルを高めながら、人事が経営に資することに意識を持って施策を実行し、企業の成長へ向けて実績をあげていきましょう。

HRPBを導入する流れ

HRBPを導入するにあたり、課題の確認や戦略見直し、人事部の体制再構築など下準備が必要です。HRBPを導入しただけにならないよう、以下の流れに沿って導入を進めましょう。

  • 人事戦略を明確にする
  • 人事部の体制を見直す
  • HRBPに任命する人材を選定する
  • HRBPのトライアルを実施する
  • HRBPを本格的に運用する

人事戦略を明確にする

最初に人事戦略を検討し、明確化にします。この際、HRBPの導入をゴールにしないようにしましょう。HRBPを導入してどのような企業風土にしたいか、2~3年計画にしてまとめます。人事戦略の立案には今後の事業環境や経営戦略も大きく影響します。どのような人材を採用・育成したいか、HRBPの役割とリンクさせながら検討を進めましょう。

人事部の体制を見直す

続いて、策定した人事戦略が実行できるかを確認します。現在の組織構造でHRBPが実現できるか、HRBPで練った方針が実現できるかを検討しましょう。もし難しければ、人事部の組織から見直す必要があります。このとき、HRBPの導入前提で進めるのではなく、そもそも設置が必要かなどの目線を忘れないようにしましょう。

HRBPなしでも人事戦略が実行できそうならそれで問題ありません。HRBPを設置したほうが、戦略遂行がスムーズになると判断したら次のステップに進みます。

HRBPに任命する人材を選定する

続いて、HRBPに任命する人材を選定します。このときのポイントは社内でどのように育成するかです。社内育成は、企業文化への理解が深く、キャリアパスの一つとしても機能します。費用を安く抑えられる一方で、新たな視点が加わらないので斬新な提案は期待できません。

社外から起用する場合は即戦力としての活躍が期待できる一方、企業文化に適用するまで時間がかかります。どちらのメリットを生かすか考えたうえで人材選定を進めます。

HRBPのトライアルを実施する

HRBPをいきなり本格導入して、企業風土に合わなかったら意味がありません。試験的に導入しましょう。社員もHRBPが相談役にふさわしいことを認識する必要があります。小さな悩みから解決に向けて動き出し、徐々に信頼関係を構築できるように進めましょう。一部の部門から導入を進めて、段階的に拡大する方法が特におすすめです。

HRBPを本格的に運用する

HRBPの動きが安定してきたら本格的に運用を進めましょう。定期的に人事戦略とかけ離れていないか検証します。時には経営層も交えた議論を実施し、具体的な施策を進めましょう。

成果が出ていない場合はスキルアップのための研修やトレーニングを実施します。人事関連の知識の習得、問題解決能力の向上など幅広い知識が必要です。参加メンバーの課題に合わせてスキルアップを促します。

HRPBを導入する際のポイント

HRBP導入にあたり、気を付けるポイントが3つあります。それぞれ見落とすとHRBPが機能しにくくなる可能性があるので、定期的に見直しましょう。

段階的に導入する

1つ目は段階的な導入を進めることです。これまでの人事部は他の部署から独立していました。理由は、労務管理がメインで、連携する必要性がなかったためです。

HRBPは他部署を巻き込んだ一大プロジェクトです。きちんと機能するためには現場の理解や他部署との適切な連携が必要不可欠です。そのため、段階的に導入を進めて社内の理解を得られるようにしましょう。

本社と対等な立場に位置づける

2つ目は本社と対等な立場に位置付けることです。経営層や本社人事とは別に、独立した組織として位置づける必要があります。独立した状態にしないと、健全に機能しません。

例えば、必要な時に人事側へフィードバックされない、従業員の声が反映しにくいなど、風通しの悪い組織に変わるためです。経営層や本社人事部に従う形にならないよう、対等な立場が重要です。

HRPBと連携しやすい組織づくりを行う

3つ目は他部署と連携しやすい組織づくりです。連携しやすい組織であれば相乗効果が生まれ、ともに目標へ向かって動きやすいでしょう。

この連携のために、CoE(Center of Excellence)の導入も検討しましょう。CoEは組織において継続的な事業計画を行う専門家です。人事関連の施策立案に関われる立場なので、HRBPとも連携しやすいです。

まとめ 

HRBPは、組織と人の双方を活性化し、ビジネスと人事の両面から事業の成長を図ります。また、経営者や部門責任者と連携して経営戦略を考案するため、コミュニケーション能力をはじめ、経営視点や戦略的思考力が必要です。

企業のトップと協力し、事業成功に向けて共に戦略を考案する魅力的な役目である一方、HRBPは業務内容が多岐にわたり、多くの負担が懸念されます。

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