T型人材とは?T型人材が求められている理由や能力の特徴を解説!

現代のビジネス環境は、変化のスピードが速く、複雑性が増しています。
そこで、多様なスキルや視点を持ちながらも、特定分野で卓越した能力を発揮する「T型人材」が注目を集めています。T型人材は、単なる専門家とは異なり、幅広い知識と協働力を武器に、組織全体の成果に貢献できる存在です。
本記事では、T型人材の特徴や求められている理由や、能力について詳しく解説します。
採用支援ツール「ABABA」を活用することで、効率的かつ効果的にT型人材を見つけられます。企業の目標やビジョンの共有ができる人材を見極め、T型人材の採用を成功させましょう。
T型人材とは?
T型人材とは、特定の専門分野に深い知識やスキルを持ちながら、他分野にも幅広い理解や経験を備えた人材のことです。「T」の形で表現され、縦軸が「専門性」、横軸が「視野の広さ」を象徴しています。この特性によって、T型人材は専門知識を活かしつつ、多様な分野の人々と連携しながら課題を解決したり、イノベーションを推進する力も発揮します。
複雑な課題が増える現代において、企業は柔軟性と多様性を持つT型人材を求め、採用や育成を進めることで、競争力の向上や組織の活性化を目指すでしょう。
エンジニアのT型人材とは
エンジニアとしてキャリア形成をする上で、T型人材の概念を理解することは重要だといわれます。
幅広い分野に対して専門性を備えたT型人材は、エンジニアの仕事に向いた人であるといえるでしょう。
ひとつの領域でトップになるような人材(I型人材)になることが難しい場合、他分野にも手を広げてT型人材になることで自分の市場価値を高められます。
T型人材を目指すことは、エンジニア職の人にとって現実的なキャリア戦略の1つだといえるでしょう。
T型人材の言い換えと英語表現
「T型人材」に近い概念や、言い換えとして機能する言葉には、次のものがあります。
・シングルメジャー
英語で「T型人材」を表現するには、以下の言い方があります。
・T-shaped skills
・T-shaped person
T型人材が求められている理由
現代の競争激化や技術進歩に対応するには、広い視野と多様なスキルを持つT型人材が必要不可欠です。企業の持続的成長には柔軟な適応力とイノベーションが求められるでしょう。
ここでは、T型人材が求められている理由について解説します。
新たなイノベーションを起こすため
競争が激化する市場で優位性を高めるには、企業は新しい価値を創出する商品やサービスの開発が欠かせません。特に、深い専門性と幅広い視野を兼ね備えたT型人材の革新的な発想力が重要です。
特定の分野に深い専門知識を持ちながらも、他分野との連携を活かすT型人材は、多角的な視点から課題に挑み、新規事業や製品開発で柔軟に対応できます。企業がT型人材を採用することで、変化に適応しながら持続的な成長とイノベーションを実現できるでしょう。
技術の発展に対応できる高度人材の必要性
現代の急速なIT技術の進展に伴い、企業は変化に柔軟に対応できる高度人材を求めています。専門分野に特化したスペシャリストだけでなく、幅広い知識を基盤に高度な専門性を発揮できるT型人材が不可欠です。
T型人材は、新技術を迅速にキャッチアップし、業務に活かす適応力や異分野をつなぐ役割も担い、革新を推進します。このような人材の採用によって、企業は市場競争での優位性を確保し、進化し続ける技術課題に対応できるようになるでしょう。
T型人材が持つ能力
現代の複雑化するビジネス環境では、多様なスキルセットと柔軟な発想を持つT型人材が注目されています。彼らが持つ能力は、変化の激しい市場で企業が競争優位を保つために欠かせない要素です。
ここでは、T型人材が持つ代表的な能力について解説します。
アナロジー思考力
アナロジー思考力とは、異なる分野間にある共通点を見出し、課題解決の糸口を見つける能力のことです。この能力を持つT型人材は、専門分野の知識に加え、他分野の知識や経験を積極的に取り入れます。
たとえば、異業種から学んだアイデアを自分の専門領域に応用することで、革新的なアプローチを生み出せます。アナロジー思考は、新たな商品やサービスの開発だけでなく、既存の業務プロセスの改善や市場開拓など、さまざまな場面で発揮されるでしょう。
この思考法を駆使することで、T型人材はイノベーションを起こす存在として、企業に大きな価値をもたらします。
チャレンジ精神
T型人材にとって、チャレンジ精神は不可欠です。専門性を深めるだけでなく、他分野の知識を習得し、新たな領域に挑む姿勢が求められます。専門分野に加え、多様な視点を取り入れるには探究心と柔軟性が必要です。
たとえば、技術者がマーケティングを学ぶことで製品開発に新たな価値を生むように、挑戦によって自身の成長だけでなく、組織全体の活性化を促進します。
チャレンジ精神を持つことで、広い視野と新しい可能性を切り開けるでしょう。
自ら答えを導き出す力
状況が素早く移り変わるVUCAの時代では、正解が1つに定まらない状況への対応が求められます。そのような環境下で、T型人材は多様な視点やスキルを活用して自分なりの答えを導き出す力を発揮します。
新しい市場への参入を検討する際に、過去のデータだけでなく、他業界の事例や現場の意見も取り入れながら、独自戦略の構築が可能です。この能力によって、困難な課題にも前向きに取り組み、具体的かつ効果的な提案ができます。
また、自ら答えを見つける力は、問題解決だけでなく、企業全体の成長に貢献する要素といえるでしょう。
自律的な行動力
T型人材は、自身の目標を明確にし、その達成に向けた行動を自律的に計画・実行する能力を持っています。この行動力を支えるのが、「目標意図」と「実行意図」の2要素です。
目標意図では自分が成し遂げたい成果を具体化し、実行意図ではその成果を達成するための行動計画を立てます。プロジェクトマネジメントにおいて、リーダーシップを発揮しながらチームを導き、必要に応じて専門家の意見を取り入れる姿勢がこれに該当します。
他人に頼らず主体的に動くT型人材の行動力は、企業にとって大きな価値を持ち、特に変化が激しい業界での成功に欠かせないものとなるでしょう。
T型人材を採用するポイント
T型人材を採用したいときは、T型人材、もしくはT型になり得る人材の特性を明確にする必要があります。
採用活動において求める特性を持った人材を特定し、内定者に伝えて自覚を促すことが効果的です。
T型人材になり得る人材の能力を延ばして育成するには、内定フォロー・入社後のタイミングで、早期に学習・体験の場を設けるとよいでしょう。
部署の枠を超えてコラボレーションを促し、さまざまな経験を積ませることも効果的です。
T型人材を育成するメリット
キャリアパスの形は人それぞれなため、T型人材がすべてに秀でているということはありません。
一方でT型人材は広い専門性を持つため、さまざまな場で活躍できるという長所があります。
広い分野に対して知識を持つT型人材を採用すれば、専門外のことにもスキルを広げていることで、独創的なアイデアの創出が期待できるでしょう。
また、他部署とのコラボレーションの際にアイデアを広く応用できる点も長所です。
T型人材を育成する方法
T型人材になりうる人材を採用した後、T型人材に育てるには何をすればよいのかが分からない企業もあるでしょう。
ここからは、T型人材を育成するために心がけたいポイントを4つ紹介します。
人材育成の参考にしましょう。
コア分野のスキルを強化させる
T型人材を育成するには、最初にキャリアのコアとなる、1つの分野に精通したスキルを獲得させることが重要です。
広い分野に精通したT型人材を目指す場合でも、中心となるスキルへの理解が不十分では知識やスキルを業務に役立てることはできないといえます。
キャリアのコアとして設定するスキルは、業務に深く関わるものを選ぶとよいでしょう。
業務から学ぶだけではなく、研修を行って専門性を高めるように支援を行うことが効果的です。
多くの分野を経験させる
T型人材を目指す場合、最初にスキルを習得した1つの分野の専門として落ち着いてしまわないようにすることが重要です。
適宜ジョブローテーションを行い、さまざまな分野について知識やスキルを蓄積できるようにするとよいでしょう。
コアとして設定したスキルから、関連するスキルに手を伸ばすようにすると、知識やスキルの習得がスムーズになります。
異分野とコラボレーションした業務に積極的に参加させることも効果的です。
多様な働き方を認める
T型人材は、コアとなるスキルへの専門性を深めながら、他分野にも関わらなくてはなりません。
さまざまなスキルを習得するには、職業を超えて学べる環境が必要なこともあるでしょう。
そのため、通常の内勤ではスキルを広げることが物理的に難しいといえます。
そのため、社内でT型人材を育成したい企業は、多様な働き方を認めるとよいでしょう。
テレワークやフレックス制などの運用によって自由な働き方を用意すれば、スキルを磨くための時間を確保しやすくなります。
長期にわたって育成する
T型人材の育成には、専門性を伸ばすこととのほか、多くの経験をすることも必要です。
この2つを短期間で両立することは簡単なことではありません。
そのため、T型人材の育成には、基本的に時間がかかると考えた方がよいでしょう。長期にわたって学びの場を提供し、人材育成を行うことが重要です。
T型人材になりうる人を採用できたら、早い段階から育成に取り組むとよいでしょう。
T型人材とほかの人材タイプの違い
T型人材は専門性と幅広い視野を兼ね備えた存在ですが、それ以外の人材タイプには異なる特徴があります。
ここでは、T型人材と他の人材タイプとの違いについて、それぞれの特徴を紹介します。
I型|専門分野に特化した人材(スペシャリスト)
I型人材は、T型人材が持つジェネラリストの要素を取り除き、専門分野に特化した人材を指します。その特性として、特定の分野における深い知識と経験が挙げられます。一方で、他分野における知識やスキルは限定的であることが一般的です。
たとえば、高度なプログラミングスキルを持つエンジニアがその典型で、技術面での問題解決には秀でていますが、マーケティングやビジネス戦略の知識が不足する場合もあります。
このように、I型人材は専門性において圧倒的な強みを持つ一方で、T型人材と比べて視野が狭いなどの課題があります。
一型|多分野の知識・スキルを持つ人材(ゼネラリスト)
-(マイナス)型人材とは、幅広い分野について知識・スキルを身につけた人材のことです。
「ゼネラリスト」もしくは「ジェネラリスト」とも呼ばれます。
一般的には、ー型人材はコミュニケーション能力が高い人が多いといわれます。
幅広い知識とコミュニケーション能力を活かして、ほかの部門と協同でプロジェクトを導くことが求められる人材だといえるでしょう。
ー型人材が持つ幅広いスキルセットと柔軟性の高さは、リーダー職や営業などにおいて真価を発揮するといえます。
Π型|複数の専門知識を兼ね備えた人材
Π(パイ)型人材とは、異なる2つ以上の専門知識を兼ね備え、それぞれの分野で深い専門性を発揮できる人材です。T型人材が1つの分野での専門性と幅広い視野を持つのに対し、Π型人材は「T」の縦軸にさらに専門性を追加した「Π」の形で表現されます。
たとえば、データサイエンスとマーケティングの両分野で高度なスキルを持つ人材は、データを活用した新たな戦略提案など、異なる専門性を融合させた成果も生み出せます。このような特性によって、複雑な問題解決や新規事業の立ち上げなど、多面的なアプローチが求められる場面で特に強みを発揮するでしょう。
Π型人材は、多様性が求められる現代の企業において、革新を推進する重要な存在です。
H型|異分野の専門家とつながれる人材
H型人材とは、特定の専門分野で高い知識やスキルを持ちながら、他分野の専門家との横のつながりを築ける人材のことです。このタイプの人材は、異なる専門領域の「I(スペシャリスト)」同士をつなぐ役割を果たし、コラボレーションの促進が可能です。
たとえば、エンジニアリングとビジネスの双方に精通し、プロジェクトの推進においてそれぞれの専門家をつなぐことで、より効果的な成果を生み出せます。また、H型人材は、異分野の視点や知識を取り入れる柔軟性も持つため、変化の激しいビジネス環境でも活躍できる適応力を備えています。
H型人材はT型人材やΠ型人材とは異なるアプローチで、組織の競争力を向上させる重要な存在といえるでしょう。
△型
△(トライアングル)型人材とは、異なる3つの物事について知識やスキルを身につけた人材を指す言葉で、「トリプルメジャー」とも呼ばれることもあります。
T型人材・Π型人材などと異なる点として、ほかの分野についての幅広い知識の有無については問われません。
△型人材は、専門分野が複数あることによって、あえて幅広い知識を持たなくても、市場からの需要が高い人材だといわれます。
企業にとっては、△型人材がいれば一人で複数の分野をこなせるため、雇用を増やさなくてもよいメリットがあります。
一方で、△型人材になるために3つの専門分野を持つことは簡単ではないため、目指したり育てたりするには多大な時間や労力をかけなくてはなりません。
J型|異分野の高度な知識を自身の専門領域に活かせる人材
J型人材とは、1つの分野について専門的な知識・スキルを極めていることによって、他の分野の専門家と十分なコミュニケーションが取れる能力を持つ人材のことです。
H型人材とは、他者と協調しながら業務を進めるか、自身の専門性向上のために他者と関わるかの点で区別できます。
通常専門性を高めるためには長い時間をかけなくてはなりませんが、J型人材として他社から知見を吸収すれば、相手の専門分野に関するスキルを効率的に吸収できるでしょう。
一方で、他者の専門性を学ぶためにコミュニケーションをとるには、自身の専門性も高くなくてはなりません。
このことから、一型人材からいきなりJ型人材になることは難しいといえるでしょう。
T型人材を育成するポイント
企業がT型人材を育成するためには、いくつかの段階に分けて根気強く教育する必要があります。
ここでは、企業がT型人材を育成する際に、重視したいポイントを紹介します。
人材育成の参考にしましょう。
早期から育成計画を立てる
T型人材を意図的に育成したい場合、長期的視野で人材育成に取り組む必要があります。
これは、知識やスキルの吸収・習得にはある程度時間が必要のためです。
企業がT型人材を育てる際は、育成スケジュールを立てて必要な経験や研修を明確化がおすすめです。
長期的な計画をもとに育成すれば、広い知識を持った人材を育てやすいでしょう。
T型人材候補に学びの機会を与えたり、幅広い業務を担当してもらったりすると効果的です。
スペシャリストを育成できる研修を行う
T型人材になるためには、核となる1つの分野についてスペシャリストにならなくてはなりません。
社内でT型人材を育成したい場合は、専門的な知識やスキルを身につけさせるための研修を実施しましょう。
また、1つの業務へ深く携わり、スキルを身につけながら仕事を進めることも重要です。
急いで多くの知識を身につけさせるのではなく、最初に核となる分野のスペシャリストとして活動できるスキルを身につけさせるようにしましょう。
定期的にジョブローテーションを行なう
T型人材を育成するためには、最初に決めた1つの分野のみに携わらせるだけでは、他の分野についての知見をなかなか増やせません。
そのため、最初に学ばせた分野についてある程度スペシャリストとしての道筋がついたら、ジョブローテーションし、ほかの分野も経験させましょう。
他部署へのジョブローテーションし、他の分野で働きながらスキルを身につけられるように、さまざまな経験をさせるようにしましょう。
多様な働き方を許容する
T型人材としてさまざまなスキルを身につけるためには、仕事でスキルを学ぶだけでは不十分でしょう。専門分野についてより高度なスキルや知識を得るために、職場以外での学びが役立ちます。
T型人材の育成には、職業を超えて学習できる環境の提供が必要です。
T型人材候補が自発的に勉強する機会や時間を作るために、テレワークやフレックス制勤務、副業などの許可がおすすめです。
多様な人材を採用する
社内の人材に多様性を持たせることも、T型人材の育成に有効です。
社内で似たスキルや価値観を持つ人が固まると、視野狭窄が起きる可能性があります。
対して、幅広い人材がいる職場では、さまざまな価値観やスキルに関われることで、専門外のスキルを身につける機会が増えるでしょう。
そのため、世代や性別、国籍を超えて人材の採用がおすすめです。
また、従業員が幅広い情報に触れられるように、従業員同士のコミュニケーションを増やす工夫も必要です。
まとめ
T型人材は、現代の急速に変化するビジネス環境において企業の成長を支える重要な存在です。深い専門知識と広い視野を併せ持つことで、組織内でのイノベーションや問題解決に大きく寄与します。
特に、異分野の知識を活用しながら新しいアイデアを生み出す能力は、T型人材ならではの強みといえます。企業は、こうした人材の採用や育成を重視し、競争力を高める必要があるでしょう。
採用活動を効率化し、適切なT型人材を見極める課題の解消には、「ABABA」がおすすめです。
◆ABABAの特徴
・AI面接を通じて応募者のスキルや特性を分析し、採用活動の精度を向上できる ・データを活用してT型人材候補者を自動的に分析・選考できる ・内定者フォローアップ機能で入社辞退を防止し、優秀な人材の長期定着を目指せる |
ABABAは、多くの就活生に利用され、企業と学生の効果的なマッチングを実現しています。他社の最終選考通過者にアプローチできるスカウト機能は、優秀な人材の獲得において大きな支援となるでしょう。
採用市場での競争が激化する中、企業には候補者の質の向上と採用プロセスの効率化が重要です。お役立ち資料では、競合他社の最終選考通過者に着目した新たな採用手法について具体的に解説していますので、ぜひご活用ください。