人材ポートフォリオの効果最大化法|成功企業の運用ポイントを解説

今回は、人材ポートフォリオの意味や、実際に人材ポートフォリオを作成する際の手順などをご紹介します。また企業のニーズに応える人材を確保するためのサービスも紹介していきますので、適切な人材配置や育成の実現のためにお役立てください。
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人材ポートフォリオとは。注目される理由
ここでは、人材ポートフォリオの意味や概要、企業に注目される理由などをご紹介します。企業の円滑な運用や経営戦略の実現のためには、人材の適切な把握が重要です。人材ポートフォリオを活用し、現状の人材資産を把握しましょう。
人材ポートフォリオとは
人材ポートフォリオとは、経営戦略に基づき、人材が「どこにどれくらいいるのか」を可視化したツールです。または人材把握のための考え方自体を指す場合もあります。
従業員の人数配置だけではなく、職種・スキル・特性なども細分化したうえで、経験年数も加味した情報を分析。測定された結果は、おもに十字グラフの形式でまとめられます。
人材ポートフォリオでは、組織に必要な人材の過不足を把握できます。その結果、今後の人事戦略を最適化するために役立たせることが可能です。
人材ポートフォリオが重要視される背景
人材ポートフォリオが重要視される背景には、2020年に経済産業省が発表した「持続的な企業価値向上と人的資本に関する研究会」報告書が関連しています。
報告書内では、少子高齢化や産業構造の急激な変化に合わせ、各企業が事業環境の変化に対応していくことが求められています。そこで提示された方法の一つが、事業ポートフォリオの変化を見すえた「人材ポートフォリオ」の作成・構築です。
人材ポートフォリオを効果的に活用することで、付加価値やイノベーションを生み出す人材の育成や組織の構築を通し、適合的な人材戦略につながります。
参考:経済産業省「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」
人材ポートフォリオ作成のメリット
ここでは、人材ポートフォリオを作成・構築するメリットをご紹介します。人材ポートフォリオは、企業を取り巻く環境の変化に対応する手段の一つ。作成・構築のメリットを把握したうえで、自社の課題を解決するために役立てていきましょう。
経営戦略に役立つ
人材ポートフォリオを作成・構築するメリットとして、経営戦略への貢献が挙げられます。人材ポートフォリオは、従業員のスキルや経験を体系的に把握する手段です。経営戦略と人材活用を直結させることで、将来的に必要となる能力や人材層を可視化できます。
組織が目指すべき方向性に合わせた人材育成や配置が可能になるのも大きなメリットです。新規事業や海外展開などのチャレンジにおいても、どのような領域で強化が必要なのかを明確に把握できます。
効率的な採用活動につながる
効率的な採用活動につながるのも、人材ポートフォリオのメリットの一つです。人材ポートフォリオを作成するプロセスでは、人材の性質や人件費の過不足も把握できます。その結果、ターゲットを絞った無駄のない採用につながります。
「既存の人材で補える部分」と「外部から採用するべき部分」を区別しやすくなり、不要な採用コストを削減できるのが大きなポイント。結果として、採用者の質が上がり、採用・育成自体のスピード感も上がっていきます。
自社の人材状況が把握できる
人材ポートフォリオの構築では、自社の人材状況の把握も期待できます。従業員一人ひとりのスキル・経験・特性を可視化できるため、人材資源の量や質を客観的に把握できるのがメリットです。
構築の結果、特定分野の人材不足やスキルの偏りなどの早期発見につながり、生産性向上のための配置変更なども可能に。さらにより効果的な育成計画も立てられるため、組織全体のパフォーマンス向上が見込めます。もちろん、現状分析の精度を高める資料としても有効です。
社員ごとのキャリア支援の展開が可能
人材ポートフォリオを構築するメリットとしては、社員ごとのキャリア支援も挙げられます。従業員のスキルや志向、キャリアプランに合わせたサポートを実施できるため、離職率の低下やモチベーション向上などが期待できます。
たとえばリーダーの素質が強い従業員にはマネジメント研修、専門性が高い従業員には外部講師を招いたさらなるスキル研修などを提案可能です。一人一人に合ったキャリア支援は企業とのエンゲージメント強化にもつながり、結果として組織全体の持続的成長につながります。
効果的な人材ポートフォリオの作成手順
ここでは、人材ポートフォリオを作成する際の具体的な手順をご紹介します。人材ポートフォリオの作成や構築では、分析した情報を効果的に活用するための「使い勝手の良さ」が重要。作成前に自社の課題を分析したうえで、結果につながりやすいデザイン作成を講じましょう。
自社の戦略や作る目的を整理する
人材ポートフォリオを作成する前に、自社の戦略や作成の目的を整理していきます。自社が抱えている課題を細分化し、ビジョンを明確にしたうえで、定量的な目標を設定していきましょう。
企業が目指す方向性に応じて、求める人材は異なります。たとえば新規事業の展開や海外進出、技術力効果など、「作成の先にあるビジョン」から逆算する形で作りましょう。人材ポートフォリオが何を達成するためのツールなのかを、経営層や人事部門で共通認識を持つことが大切です。
必要な人材像や配置人数を明確にする
人材ポートフォリオの作成時は、必要な人材像や配置する人数を、あらかじめ明確にします。戦略が定まったら、実現のために「どのような人材が」「どこに」「どれくらい必要なのか」を定量的に定め、曖昧さを極力カットした状態で進めていきましょう。
現在の人員だけではなく、育成の進捗に応じ、将来的にどのような人材が存在するか(もしくは必要になるか)を加味することが重要です。この段階を丁寧におこなうほど、現状分析や育成施策の精度が高まります。
人材像に現社員を分類する
企業や部署に必要な人材・人数が定まったら、現状の従業員をその基準に照らし合わせて分類していきましょう。個人ごとにスキル・経験年数・適性・キャリア志向などに細分化し、どの従業員がどのカテゴリーに当てはまるのかを整理していきます。
いわゆる「ポートフォリオを実際に作成していく作業」であり、組織内の人材分布が可視化されていくなかで、個人・組織・部署の強みや弱みが明らかになっていきます。同時に、今後の人員変更における後継者の存在も認知できるでしょう。
理想とのギャップを解消する手段を検討する
人材ポートフォリオの記載を終えたら、現状の社員分布とビジョンを見比べます。ギャップが発生しているポイントや大きさを把握したうえで、解消するための具体的な施策を検討していきましょう。
ただし「ギャップがあるから解雇や即時異動」のように早急な施策を進めてしまうと、従業員に不信感を抱かせる原因になります。実際にテコ入れをおこなう際は、企業の課題や解決手段の方針を従業員と共有することも大切です。可視化された課題をもとに、採用活用や育成などの施策も拡大していきましょう。
人材ポートフォリオ運用に成功している企業の例
ここでは、人材ポートフォリオの運用に成功した企業の例として、『東京海上ホールディングス株式会社』と『旭化成株式会社』をピックアップしてご紹介します。他社の活用方法を参考にしつつ、自社の課題解決に活かしていきましょう。
東京海上ホールディングス株式会社
東京海上ホールディングス株式会社が人材ポートフォリオ作成で重視しているのは、経営人材プログラムの作成や実施です。年齢や社歴の壁をなくし、幅広い世代に向けたプログラムを実施するために、人材要件を明確化しました。
グループ全体をマネジメントする部門に、管理能力の高い人材を配置した結果、スピーディーな人材育成が実現。効果的なポートフォリオを作成するために、経営陣にかかわるレベルでの人材要件を明確化したことも、社会変化に応じた人事制度の成功につながりました。
旭化成株式会社
旭化成株式会社も、人材ポートフォリオの活用で戦略的成功を収めた企業の一つ。旭化成株式会社では、企業の経営戦略と連動したポートフォリオを年に1回作成しており、その都度全社の全事業部に内容を共有しています。
事業部ごとに必要な人材の人数や要件が洗い出され、現状の課題に基づいた採用や教育を実施。採用のみで補えない部分では、コーポレートベンチャーキャピタルをはじめとする外部企業とのコネクションを活用して解決しています。
ABABAとREALMEで必要な人材構成を最短で採用
今回は、人材ポートフォリオを作成・構築するメリットや具体的な方法などをご紹介しました。人材ポートフォリオの構築では、企業の課題を解決するための人員配置や、ニーズに応じた人材の特性などのヒントを得られます。
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