内定通知書の雛型テンプレート|書類の役割や送り方、メール文例まで解説

内定通知書は、採用内定を正式に伝えるだけでなく、内定者に入社日や提出書類、労働条件などを明確に共有するための重要な書類です。
発行自体は義務ではありませんが、通知により法的な契約関係が生じる可能性があるため、正確な記載と適切な送付が欠かせません。本記事では、内定通知書の役割や法的効力、記載項目、送付方法、具体的なメールの文例まで、実務目線でわかりやすく解説します。
内定通知書とは何か
内定通知書とは、企業が選考の結果として「採用内定」を伝えるために交付する書類です。入社日や今後の手続き、同封書類、返送期限、問い合わせ先などを明確にし、内定者との認識のずれや連絡漏れを防ぐ役割を担います。
法的に発行義務はありませんが、内定を出した事実を記録として残すことができるため、実務ではトラブル予防・手続き円滑化の観点から作成する企業が多いです。
| 書類 | 主な目的 | 法的な位置づけ(実務上) | 主な記載内容 |
| 内定通知書 | 内定を通知し、入社手続きへつなぐ | 発行は任意(ただし内定通知により契約関係が問題となる場面があるため記録として重要) | 内定の旨、入社日、提出・返送書類、期限、連絡先など |
| 採用通知書 | 選考合格・採用決定を知らせる | 発行は任意(企業により「内定」との使い分けが異なる) | 合格・採用決定の通知、今後の案内など |
| 労働条件通知書 | 労働条件を明示する | 交付が必要(労働条件の明示義務への対応) | 賃金、労働時間、休日、就業場所・業務内容などの労働条件 |
内定については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。内々定や採用決定との違い、内定辞退や取り消しの注意点などについて気になる方は、ぜひ、あわせてご覧ください。
内定とは?内々定や採用との違い、通知書の記載例と手続きの流れを解説
役割と目的
内定通知書の主な役割は、採用内定の意思を正式に伝えること、採用内定者の入社意思を確認することにあります。
企業が書面で内定を通知することで選考結果を明確に示すと同時に、入社日や今後の手続き、提出書類などを具体的に共有することができます。あわせて、入社承諾書の返送を求めることで、内定者の意思を確認し、採用計画を確定させる役割も果たします。
新卒採用では、卒業から入社までに期間が空くことが多いため、入社時期や今後のスケジュールを明確にし、内定者の不安を解消する目的が強くなります。たとえば、「翌年4月入社予定」「内定者懇親会の案内」などを記載します。
一方、中途採用では前職の退職時期との調整における役割が大きいです。たとえば、「入社日は双方協議のうえ決定」と示すなど、個別事情に配慮した内容が求められます。
法的な効力
内定通知は、一般に「始期付解約権留保付労働契約」が成立した状態と位置づけられます。これは、入社日を契約の開始時期(始期)として定めつつ、一定の事由がある場合に限り、企業が解約できる権利を留保した労働契約です。そのため、内定通知後は法的拘束力が生じ、合理的な理由のない取り消しは解雇と同様に無効となる可能性があります。
労働契約法第16条の趣旨に照らし、内定取り消しが認められ得るのは客観的に合理的で社会通念上相当な事由がある場合に限られます。これには次のようなケースが当てはまります。
- 重大な経歴詐称や虚偽申告が判明した場合
- 必要な資格・免許を取得できなかった場合
- 健康上の理由により業務遂行が著しく困難な場合
- 企業の経営悪化などやむを得ない事情がある場合
個別事情に応じた慎重な判断が求められます。
また、法的リスクを回避する観点では、勘違いされやすい内々定と内定の違いを明確にしておくことも重要です。詳しく知りたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。
内々定とは?内定との違いや取り消しの問題点・対処法を解説
内定通知書テンプレート一覧
本章では、内定通知書の文例の無料テンプレートを用意しています。新卒向けは採用決定の明確な通知に加えて学生生活への配慮を盛り込んだ形式、中途向けは前職との調整や提出書類を明確にした実務重視の内容です。メール用テンプレートは件名や本文例を整備し、迅速な通知に対応できる構成になっています。
新卒採用文例
以下は、新卒採用向けの内定通知書の文例です。
令和〇年〇月〇日
〇〇様
株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇
内定通知書
拝啓 貴校ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたびは弊社採用選考にご応募いただき、誠にありがとうございました。
厳正なる選考の結果、〇〇様を令和〇年〇月〇日付で弊社社員として採用内定といたしましたので、ここにご通知申し上げます。
つきましては、同封の入社承諾書にご記入のうえ、〇月〇日までにご返送ください。
詳細な労働条件につきましては、別途同封の書面をご確認ください。
残りの学生生活が実り多きものとなりますことを心よりお祈り申し上げますとともに、入社後のご活躍を期待しております。
敬具
新卒向けでは、採用決定の明確な通知に加え、学生生活への配慮や今後の成長への期待を伝えることが重要です。「残りの学生生活への言及」や「入社後の活躍への期待」を盛り込むことで、不安を和らげ、入社意欲の向上につなげられます。
中途採用文例
以下は、中途採用向けの内定通知書の文例です。
令和〇年〇月〇日
〇〇様
株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇
内定通知書
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
このたびはご多忙の中、弊社採用選考にご参加いただき誠にありがとうございました。
慎重に選考を重ねました結果、〇〇様を弊社社員として採用内定といたしましたので、ご通知申し上げます。
入社日は〇年〇月〇日を予定しておりますが、現職のご都合等を踏まえ、柔軟に調整いたします。
同封の入社承諾書にご記入のうえ、〇月〇日までにご返送ください。労働条件の詳細は別紙をご確認ください。
これまで培われたご経験とご専門性を、弊社事業の発展に存分に発揮いただけることを期待しております。
敬具
中途採用では、在職中である可能性に配慮し、入社日の調整に言及することが重要です。また「これまでの経験を活かしてほしい」といった表現を加えることで、即戦力としての期待を明確に伝えられます。
メール送付文例
メールで内定通知書を送付する場合は、件名を簡潔かつ明確にすることが重要です。
【件名例】
【内定通知のご連絡】株式会社〇〇〇〇
【本文例】
〇〇様
お世話になっております。株式会社〇〇〇〇 採用担当の〇〇です。
このたびは弊社採用選考にご参加いただきありがとうございました。
厳正なる選考の結果、〇〇様の採用を内定いたしましたのでご連絡申し上げます。
内定通知書および労働条件通知書をPDFにて添付しておりますので、ご確認ください。
入社承諾書は〇月〇日までにご返送をお願いいたします。
PDF添付時は、改ざん防止のため編集不可設定にする、パスワードを別メールで送付するなどの配慮が有効です。送信後は開封確認機能の利用や電話での連絡により到達確認を行うと安心です。
内定通知書への記載項目と内容
内定通知書には、作成日、内定者氏名、企業名・代表者名、内定決定の通知、入社予定日、提出書類や期限、問い合わせ先などを記載します。法的な必須様式はありませんが、労働条件の通知を兼ねる場合は法定明示事項が必要です。内定通知自体は任意書類であり、手続き案内や期待の言葉などは任意項目です。
必須記載項目
上述したとおり、内定通知書に法定の様式はありませんが、実務上は最低限押さえておくべき項目があります。特に重要なのが、送付日、宛名、差出人、内定通知の文面、入社日、連絡先です。これらが不明確だと、通知時期の特定や意思表示の有無を巡って誤解が生じるおそれがあります。
日付は「令和〇年〇月〇日」のように正式表記で記載し、宛名は履歴書どおりの氏名をフルネームで記載します。
差出人は会社名と代表者名(または責任者名)を明示し、内定の旨は曖昧な表現を避けて明確に伝えます。
入社日は具体的な年月日を示し、未確定の場合は「協議のうえ決定」と補足します。
連絡先は担当部署・氏名・電話番号・メールアドレスまで記載するのが望ましいでしょう。
| 項目 | 記載例 | 注意点 |
| 送付日 | 令和〇年〇月〇日 | 内定確定日か発送日かを社内で統一 |
| 宛名 | 〇〇 〇〇 様 | 誤字脱字・敬称漏れに注意 |
| 差出人 | 株式会社〇〇〇〇 代表取締役〇〇 | 会社の正式名称を使用 |
| 内定通知 | 「貴殿を採用内定といたしました」 | あいまいな表現を避ける |
| 入社日 | 令和〇年〇月〇日入社予定 | 未確定の場合は調整文を付記 |
| 連絡先 | 人事部〇〇 TEL… | 問い合わせ窓口を明確にする |
任意記載項目
ここからは任意で記載できる内容です。代表的なものが挨拶文、内定取消事由、労働条件の概要です。
挨拶文は「ご応募への感謝」や「入社後の活躍への期待」などを簡潔に述べることで、内定者の安心感と入社意欲を高められます。新卒であれば学生生活への配慮、中途であれば現職への配慮を添えると効果的です。
内定取消事由は、「重大な経歴詐称があった場合」など合理的な範囲で明示します。あらかじめ条件を共有しておくことで、後日のトラブル防止につながります。
また、別途労働条件通知書を交付する場合でも、賃金や勤務地などの概要を記載しておくと認識のずれを防ぐことができます。これらを盛り込むことで、信頼性の向上とリスク管理の両立が図れます。
内定通知書の主な送付方法
内定通知書の主な送付方法は「郵送」と「メール」です。郵送はより公式な印象を与え、到達確認もしやすい一方、時間と手間がかかります。メールは迅速で効率的ですが、誤送信や未確認のリスクがあります。状況に応じた使い分けが重要です。
郵送での送付
郵送で内定通知書を送付する場合は、到達確認と情報管理への配慮が重要です。
まず、内定通知書とあわせて入社承諾書や労働条件通知書などの同封書類を準備し、送付状を添えます。封筒の表面には応募者の氏名・住所を正確に記載し、「親展」と明記します。親展とすることで、本人以外の開封を避けやすくなり、家族に転職活動を知られたくないケースへの配慮になります。
発送方法は、簡易書留やレターパックなど、配達状況を確認できる方法が安心です。簡易書留であれば受領印が必要となるため、到達の証明にもなります。発送後は追跡番号を控えておきましょう。
返信用封筒を同封する場合は、企業宛ての住所をあらかじめ印字し、必要に応じて切手を貼付します。内定者の負担を減らすことで返送遅延の防止につながります。封入物の最終確認を複数人で行い、誤送付を防ぐ体制も整えておくことが重要です。
メールでの送付
メールで内定通知書を送付する場合は、内定通知書をPDF化し、本文で「内定のご連絡」「添付書類(内定通知書・労働条件通知書・入社承諾書など)」「返送期限と提出方法」「問い合わせ先」を明記して送ります。
PDFでの交付は、事前に「メール(またはオンライン)での書類送付に同意するか」を面接時や最終連絡時に確認し、同意の返信を残す(メール返信・同意フォーム・承諾書へのチェック欄)形で取得すると確実です。
誤送信防止として、送信前に
- 宛先(To/Cc/Bcc)
- 氏名
- 添付ファイル名と内容
- パスワード有無
をチェックリストで確認し、作成者と別担当者の二者承認で送信する運用にすると事故を減らすことができます。
内定通知書送付時の注意点
内定通知書送付時は、記載内容の正確性と到達確認が最重要です。誤記や誤送信はトラブルの原因になります。
- 氏名・入社日・労働条件の誤記確認
- 添付書類の漏れチェック
- 宛先メール・住所の再確認
- 返送期限・連絡先の明記
- 到達・受領確認の実施
書類内容の再確認
内定通知書に関するミスは法的トラブルや信用低下を招きやすいため、送付前の「複数人チェック」を徹底して運用しましょう。
作成者だけで完結させず、採用担当・労務担当・上長など、役割の異なる2〜3名で確認することで、氏名や入社日、労働条件の齟齬、添付漏れ、宛先誤りといった致命的ミスを減らせます。
特にメール送付は誤送信=個人情報漏洩につながるため、宛先・添付・ファイル名・パスワード連絡手段まで手順化し、最終承認後に送信する流れを徹底します。チェックは「内容の正確性」と「情報管理」の両輪で行うのがポイントです。
| チェック項目 | 確認ポイント(例) | 担当 | 完了 |
| 宛名 | 漢字・ふりがな・敬称(様)・旧姓/通称の反映 | 採用担当 | □ |
| 入社日 | 日付の誤記、内定者と合意した日程か | 採用+上長 | □ |
| 労働条件の整合 | 給与・手当・勤務地・職種がオファー内容と一致 | 労務 | □ |
| 変更範囲の記載 | 就業場所/業務の変更範囲が明確で曖昧でない | 労務 | □ |
| 返送書類 | 内定承諾書・同意書等の同封/添付漏れ、期限明記 | 採用担当 | □ |
| 連絡先 | 部署名・担当者名・電話/メールの誤記なし | 採用担当 | □ |
| 添付ファイル | 正しいPDF、別人の書類混入なし、ファイル名適切 | 採用+労務 | □ |
| 送付先 | メールアドレス/住所の転記ミス、CC/BCC設定 | 採用+上長 | □ |
| 個人情報対策 | 暗号化/パスワード通知の方法、誤送信時手順 | 労務 | □ |
| 最終承認 | 送信/投函前の承認者チェック(証跡を残す) | 上長 | □ |
内定承諾期限の設定
内定承諾の返送期限は、一般的に「10日〜2週間程度」に設定するのが実務上の目安です。企業側にとっては採用計画や人員配置を確定させる必要がある一方、内定者にとっては他社選考の結果や家族との相談など、慎重な判断が求められるためです。
短すぎる期限は不信感を招き、長すぎると採用活動全体に影響します。通知書には「〇月〇日必着」など、具体的に明示しましょう。
期限延長の申し出があった場合は、理由を確認したうえで合理的な範囲で再期限を設定します。たとえば、「他社最終面接の結果待ち」などであれば数日〜1週間の延長を認めるなど、柔軟に対応します。延長後の期限は書面やメールで再確認し、認識のずれを防止しましょう。
同封すべき書類
内定通知書を送付する際は、関連書類をあわせて同封することで手続きを円滑に進められます。
まず「内定承諾書」は、内定者が入社意思を正式に示すための書類です。署名・捺印欄を設け、返送期限を明記します。
「労働条件通知書」は、賃金や労働時間、就業場所などの条件を明示する書面で、労働契約締結時に交付が必要です。内定通知書に労働条件を詳細に記載しない場合は必ず同封します。
また、郵送の場合は返信用封筒を同封し、宛先を記載のうえ、必要に応じて切手を貼付しておくと返送漏れの防止につながります。
| 書類名 | 主な目的 | 法的義務 |
| 内定承諾書 | 内定者の入社意思確認 | 義務なし(実務上有用) |
| 労働条件通知書 | 労働条件の明示 | 交付義務あり |
| 返信用封筒 | 書類返送の円滑化 | 義務なし(配慮事項) |
これらを適切に準備することで、手続きの確実性と信頼性が高まります。
まとめ
内定通知書は、採用内定を正式に伝え、入社手続きを円滑に進めるための重要な書類です。法的な発行義務はありませんが、通知により労働契約関係が問題となるため、記載内容の正確性と送付方法への配慮が不可欠です。
必須項目や任意項目を整理し、内定承諾書や労働条件通知書を適切に同封することがトラブル防止と信頼構築につながります。状況に応じた郵送・メールの使い分けと丁寧な確認体制が、採用成功の鍵となります。









