ABABA代表 久保駿貴の一期一記 vol.2 面接を「未来の仕事」と呼んだ人事の話

久保 駿貴(株式会社ABABA 代表取締役社長)

1997年生まれ。兵庫県明石市出身。岡山大学4年次、友人が就職活動を通して“うつ状態”になったことを機に就職活動の過程が評価されるスカウト型サービス『ABABA』を開発。約3,000社の企業と累計約14万人の就活生が利用するまでにサービスを拡大。

累計19.2億円の資金調達を実施し、最年少で経団連に入会したほか、経済産業大臣賞、東京都知事賞など数々の賞を受賞。東京MX「堀潤モーニングFLAG」にてコメンテーターも務める。

先日、ある食品メーカーの採用責任者と話す機会があった。牛の近く、人より牛の数のほうが多いような土地に工場を構える会社だ。生活に身近な商品をつくる一方で、採用の主戦場は生産現場を支える技術系の人材。毎年、その確保にずっと苦労しているという。

話が採用の悩みに及んだとき、その方はこんなことを言った。学生が本当にこの会社で働きたいと思ってくれているか、入社後の暮らしまで含めて「解像度」がどこまで上がっているか——そこを何より大切にしている、と。

たとえば東京で生まれ育ち、十歩も歩けばコンビニがある生活をしてきた学生。その子が、コンビニが町に一軒しかない、二十四時間は開いていない、宅配ピザも頼めない——そんな土地の工場で働く自分の姿を、どこまで具体的に思い描けているか。イメージが追いつかないまま入社すれば、結局はお互いにハッピーではない結果になってしまう。だから面接の前後で現場の若手社員との座談会を開き、時間をかけてすり合わせる。「数を埋める採用」とは対極にある向き合い方だった。

印象的だったのは、就職活動をしながら少しずつ会社への解像度を上げていく学生を、その方が肯定的に受け止めていたことだ。「それでいいと思っている」と。まだ決めきれず、迷いの途中にいる学生を、欠けた人材としてではなく、これから伴走していく相手として見ている。

そして最後に、忘れられない一言があった。

「未来の仕事じゃないですかね」

目の前にいる二十一歳、二十二歳の学生は、この会社の二〇五〇年を背負う人材なのだ、とその方は言う。いまは一つの会社に何十年も勤める人が減ったと世間では言われる。それでも、四半世紀先にこの会社を引っ張っていくのか、そもそも会社が存続できているのか——それを決めるのは、まさにいま、面接室に座っているこの世代なのだと。だから面接のたびに、身が引き締まる。

採用を「今期の欠員を埋める作業」として捉えれば、面接は選別の場になる。けれど「未来の自社と出会う場」として捉えたとき、面接はまるで違う意味を帯びてくる。落とすか採るかではなく、この人と一緒に二十五年後をつくれるか。その問いの前では、目の前の学生一人ひとりが、途方もなく大切な存在に見えてくる。

私たちは日々、たくさんの「不採用」に立ち会っている。最終面接まで進みながら、あと一歩で見送られた学生たち。彼ら彼女らもまた、どこかの会社の未来を背負えたかもしれない人材だ。その事実を思うと、一つひとつの出会いを、もう少しだけ丁寧に扱いたくなる。

あなたにとって面接は、欠員を埋めるためのものですか。それとも、二十年後の自社と出会うためのものですか。



ABABAは、最終面接まで進んだ学生と企業をつなぐスカウト型サービスです。「不採用」を「次のチャンス」に変えることで、学生にも企業にも新しい出会いを届けています。