ABABA代表 久保駿貴の一期一記 vol.1「採用チームが変わるかどうか」で選ぶ 人事責任者の話


久保 駿貴(株式会社ABABA 代表取締役社長)
1997年生まれ。兵庫県明石市出身。岡山大学4年次、友人が就職活動を通して“うつ状態”になったことを機に就職活動の過程が評価されるスカウト型サービス『ABABA』を開発。約3,000社の企業と累計約14万人の就活生が利用するまでにサービスを拡大。
累計19.2億円の資金調達を実施し、最年少で経団連に入会したほか、経済産業大臣賞、東京都知事賞など数々の賞を受賞。東京MX「堀潤モーニングFLAG」にてコメンテーターも務める。
先日、ある大手メーカーの採用責任者の方と商談をさせていただいた。採用チーム15名を束ねるその方は、もともとキャリア採用畑で20年以上の経験を持つベテランだ。今年から新卒採用にも関与し始めたばかりだという。
僕たちがサービスの説明をしようとすると、開口一番こう聞かれた。
「このサービスの生まれた背景と、根本の思想を聞かせてほしい」
正直、面食らった。普通の商談では「何名採れますか」「費用対効果は」「工数はどれくらい減りますか」——そういった話になる。でもこの方は、そういう数字の話にはほとんど関心を示さなかった。
代わりに終始気にされていたのは、たった一つのことだった。
「このサービスを導入したら、うちの採用メンバーはどう変わるのか」
聞けば、その方が数年前に入社した時点で、会社の採用活動は「20年前のまま止まっていた」のだという。「採用は人事がやる仕事」という意識が根強く、現場の部門は完全に他人事だった。
そこからキャリア採用側で改革を進め、部門が直接候補者に会って口説く文化を数年がかりで作り上げた。次はそれを新卒でもやりたい、と
ただし課題は「やりすぎ」だった。少ない人数であれもこれもと手を広げ、母集団形成にリソースが偏り、本来最も大切なはずの内定後の学生対応が「電話1本で済ませている」状態。この方の号令は明快だった——「もっとやることを減らしてくれ」。
印象に残った言葉がある。
「エージェントは赤ワインみたいなもの。美味しいけど、栄養にはなっていない」
即効性はあっても、それを使い続けてもチームは成長しない。だからサービスを選ぶ基準は、採用人数でもコスト削減でもなく、「触媒になるかどうか」だと言うのだ。
触媒——つまり、そのサービスを入れることで、メンバーが「採用って楽しい」と思えるようになるか。学生をもっと大事にしようと思えるようになるか。チームの文化そのものが変わるきっかけになるか。
僕は日々、大企業の人事の方々とお話しする機会が多い。その中で感じるのは、採用の現場が今、大きな転換点にあるということだ。
「たくさんの学生に会って、たくさん内定を出す」時代から、「一人ひとりと深く向き合い、入社後まで見届ける」時代へ。頭ではわかっていても、組織としてそこに舵を切れている会社は、まだ多くない。
この方がすごいのは、その転換を「仕組み」ではなく「人の変化」から始めようとしていることだと思う。新しいツールを入れて業務を効率化するのではなく、新しいツールを通じてメンバーの意識を変える。順番が逆なのだ
僕たちABABAに対しても、「何名採れるか」ではなく「チームがどう変わるか」で判断すると明言された。これは嬉しくもあり、同時に身が引き締まる問いだった。正直、その場ですぐには答えられなかった。
採用サービスの導入を検討されている人事の方に、一つ問いかけたい。
「そのサービスは、あなたのチームにとって“栄養”になりますか?」
効率化や数字の改善はもちろん大事だ。でも、それだけでは組織は変わらない。この方との商談で、僕自身がそのことを改めて教えられた気がしている。
ABABAは、最終面接まで進んだ学生と企業をつなぐスカウト型サービスです。「不採用」を「次のチャンス」に変えることで、学生にも企業にも新しい出会いを届けています。
2026年6月19日 筆